春望録
2025年 2月1日 歴史認識
昨晩、茂木誠氏の動画もぎせかチャンネルを視聴させて頂いた。タイトルは「ウクライナ戦争の淵源、プーチンの歴史観」で
『文明の衝突が生み出す世界史』という本の共著者、宇山卓栄氏とのコラボ講義だった。茂木氏については中東の歴史など調べるだけでも心が折れる複雑な歴史について、まるでドラマを視ているような面白さで伝えてくれる。そして今回の動画も期待通りの面白さだった。
さて私がこの動画に惹かれたのは勿論、このモヤモヤが止まらないウクライナ戦争について、すこしでも公平な視線で捉えたいと思うからだ。ぶっちゃけで言えば、アメリカのバイデン政権を始めNATOは、同盟国でもないウクライナに何故これほど肩入れするのか通常の感覚では 理解できないからだ。確かに侵攻を始めたのはロシアに違いないが、これについて図らずもゼレンスキー氏はこの事態を「リメンバー・パールハーバー」という言葉に例えていたが、この言葉は今でも私の頭をよぎるのだ。
とはいえこの時の日本は完膚なきまで打ちのめされ、主要都市は無残にも焦土と化した。一方のプーチン大統領はどうかといえば、この侵攻が行われる前から事態を想定し、西側の経済封鎖に遭っても大丈夫なように、国に金を蓄え、或いは食料供給が滞らないように首都周辺に農作物を植えるなど自給自足の体制を整えた後、満を持して侵攻に及んだ形跡がある。結局戦争継続を高みの見物と考えていたNATO諸国は今、自分の首を自ら絞める結果に至っていないだろうか。そのことをニュースなどで確認することは出来ないが、ロシアを囲む周辺国が次々親ロシアよりに傾いていることからもロシアの経済状態を推察することが出来る。要するに周辺国がわざわざ戦争で倒れそうな国に近づこうとはしない筈なのである。
このような状態の中、昨年の2月アメリカのジャーナリストタッカーカールソン氏はロシアのプーチン大統領と単独会談に臨んだ。しかしながらこの頃はまだトランプ政権誕生は希望だけでしかなかった。つまり場合によってはロシアからの帰国もままならず、自らの命さえ狙われる危険性があった。因みにこの対談は西側諸国の視聴者が期待するものとはかなり違った展開になった。というのも対談早々始まったのは、プーチン氏による侵攻の弁明ではなく、ひたすらロシア民族の歴史について、あたかも歴史学者の講義のような一方的な展開だったからだ。恐らく命がけでこの対談の準備を進めたカールソン氏にとっても、これはあっけにとられる展開だっただろう。とはいえこの講義はロシアの歴史的正当性を主張することで、ゆくゆくはウクライナ全土の併合まで匂わせているのではないかと勘繰られた方も居られたかもしれない。これはではまるで赤ずきんの前で毛むじゃらの手を広げるようなもので、私は有り得ないことだと思っている。あとは想像でしかないが、このような対談で最も懸念されることは不用意な発言に尽きるだろう。だからと言ってこのチャンスは西側諸国の国民に直接語り掛けることの出来る千載一遇のチャンスでもある。そこで執られたのが歴史認識という土俵を自ら創り、しかも言葉だけでは編集のきかない視覚的メッセージを残す目論見があったのではないだろうか。
つまりどういう事かといえば、ウクライナ共和国の歴史を言葉の意味として伝えるのではなく、会話の長さによって視覚的効果を利用することにある。それはちょうど生命誕生の歴史に比べれば人類の誕生の歴史など瞬く間の歴史でしかないという表現である。そしてもう一つはこの土地の歴史はポーランドやハンガリーなど周辺国の影響抜きには語ることが出来ないということでもある。もしこのままウクライナが停戦を拒み続ければこれらの周辺国はどのような行動に及ぶだろうか、すでにポーランドもハンガリーも自国に被害を受けつつも、ウクライナへの直接支援を続けているのである。ようするにこの状況に対しウクライナは、これらの周辺国にも配慮すべきではないかと言う事を、長い歴史の講義により示唆していた可能性がある。
さてこのような対談を見て感じたことは、今のところロシアは停戦を急いでいないのではないかと言う事で、もし停戦を急ぐのであればこんな周りくどい言い方はせずに、初めからミンスク合意が守られなかった証拠を具体的に提示して、いち早い停戦を世界に訴えていたはずだ。ところで世に言われる陰謀論者が期待するのは、現在トランプ大統領が対峙しているDSの戦争に対する関与を止めることだ。この点についてはマイダン革命のお膳立てはオバマ政権が関わったとされているので、今ではこの流れが単なる陰謀論では終わらない話になっている。そして私のような陰謀論者の願うところは、トランプ革命によりこの陰謀に歯止めがかかることだ。