今昔問答
2025年 8月30日 大艦巨砲主義
日本でこの言葉が使われるのは、戦争の趨勢を読めなかった軍令部への皮肉として使われることが多い。特に真珠湾攻撃を取り上げた映画では盛んにこの言葉が使われる。とはいえ日本が仮に戦艦大和より空母信濃を建造していれば戦争に勝ったのかといえば、そうでは無いだろう、そう考える前に、日本は何故サンゴ礁しかない海に貴重な軍艦を送ったのかという疑問の方が先に来るからだ。
そんなことより、現代の日本はまた微妙な防衛戦略のために膨大な国費を投じ国民の生活を脅かそうとしている。というのも今日配信のjiji.comによると防衛省は長距離ミサイルの配備先を日本全国の自衛隊駐屯地に決定したという記事が載っていた。それにしてもいくら平和な時代であってもこんな情報は軍事機密ではと思うのだが、予算が付いた以上どこに配備されたのかは秘匿できないことなのか。問題はこれで日本は安心できると考えるのか、逆に心配材料が増えたと考えるのか意見が分かれることだ。たいがい攻撃は最大の防御という言葉にしたがい、この反撃能力は当然抑止力になると考える人が多い。
とはいえ、そのような事は攻撃の対象にされる方も真っ先に考えることで、日本が長距離ミサイルを配備したといえば何処に配備されるのか注目しているはずだ。因みにこの記事には候補となる駐屯地が図解入りで紹介されている。おそらく報道機関はこんなことを秘匿してもすでに情報は伝わっていると判断しているのかもしれない。ところで、このような情報に対し相手国はどのような対応をするのか、このことがこの反撃能力を考える上で最も重要になる。まさか遥か2000キロに及ぶ長旅を指をくわえて待っているはずがない、そこでどちらの陣営も真っ先に考えるのはミサイルを移動式にして所在を分からないようにすることだ。実際この記事にある写真でもミサイルはトレーラーで移動できるようになっている。つまり撃ったら逃げるのが当たり前で、どっから撃つか知られないようにすることは、もっと当たり前のことだろう。
因みに、それよりもっと難しいことは、このミサイルをどのタイミングで発射するかだ。当然射程が長ければ長いほど着弾には時間がかかり、発射の決断はそれを見越して早めなければ意味がない。ところが日本ではこんなことが問題になる。今から数年前に有事に関する議連のシュミレーションを見たことがある。そこでは日本の反撃に呼応してアメリカが反撃を行うかどうか、総理大臣役がアメリカにお伺いを立てようとしたところ電話が繋がらないという事態になっていた。恐らくこの事態を十分考慮してこの反撃能力の計画は勧められたのだと思うが、現在の日米関係を見れば関税交渉のアポすら覚束ない状態なのだ。
さて、折角配備の始まった長距離ミサイルだが、ミサイルの性能のことを言えば現在西側はこの技術でロシアに太刀打ちできない状況にある。というのもロシアはすでにオレシュニクという超音速ミサイルを実践投入し戦果を挙げている。残念ながら現在、西側のミサイルではこれを迎撃することは出来ない。つまり日本がこの先ミサイルの数だけを積み上げても抑止の均衡など望むべくもなく、そればかりか最悪の場合はミサイルの破壊力を競う事態にもなりかねない、要するに核弾頭による核戦争の可能性だ。というのも目標が正確に補足できなければ当然、目標の周辺一帯が攻撃の対象になり、しかも一撃で相手国を沈黙させる必要がある。この考えが進むと相手が強力な武器を使えば使うほど報復の均衡を取るためには、破壊力、攻撃スピードのエスカレーションが起こる。この点でウクライナ戦争の限定的なミサイル攻撃を参考にしては大きな過ちを犯してしまうだろう。というのもロシアからしてみれば、歴史的にもウクライナは同胞なのである。そして核兵器が登場して80年が経過してはいるが、その間も戦争はいたるところで頻発し、しかも核兵器の保有国は増え続けている。ところが、何故かこの兵器が使われた国は日本以外存在しないのである。我々日本人はこのことにもっと注意深く目を向けるべきだ。
結局、核攻撃も含め国民の被害を最小限に留めるためには、核兵器を積み上げることよりも、日本人の絶滅を防ぐためには、これによる犠牲覚悟でミサイル攻撃が止むまで、国民は安全なところに身を隠すことしかない。あるいは実証試験で顕著な成果のあるレールガン等レーザー兵器の実戦配備を急ぎ水際で核を含むミサイル攻撃を排除することだ。実証試験の報道によれば、この兵器は一発の値段が高額な長距離ミサイルに比べコストが安く、連射が可能な分撃ち漏らす可能性も低くなるという。因みにこれを今すぐ全国配備しても今回配備された長距離ミサイルとコストはほぼ変わらない。何しろこの開発予算全体で125億円で、それに比べ12式一式に掛かる配備費用と比べても圧倒的コストパフォーマンスなのだ。
その上で、万が一にでも日本が他国により侵攻された場合は、自軍における地の利を生かす防衛戦略が新たに必要になる。つまり地の利を生かす地上戦において優勢に戦い侵攻勢力を駆逐することが新しい防衛戦略になると思うからだ。つまり地の利とは侵攻軍よりも圧倒的な兵站により自軍の継戦能力を保つことだ。そのための防衛予算については防災も兼ね備えた避難施設の建設、弾薬の備蓄、供給困難時の食料確保やエネルギーなどの貯蔵施設、更にその輸送に掛かる航空機や鉄路など様々なインフラ整備により侵攻勢力の侵攻を確実に食い止めることが必要になる。