思考ラボ
2023年 8月23日 円安は金利差で生まれるのか?
この話題は何度目になるだろうか、結局理屈や結果はどうあれその責任は日銀にあるというようにマスコミは誘導したいようだ。とはいえ以前のように露骨に利上げを推す表現はかなり薄まっている。むしろ脈絡もなく結びに「今後の日銀の動向が気になる」とかなんとか、これを聞くたびに私は「とはいえカルタゴは滅ぶべきだ」というようなむちゃなプロパを感じてしまうのだ。
さて、これから利上げと円安の関係についてはこのブログで何度も触れてきたつもりだが、一向にそのプロパが収まりそうにないのだ。私はこれを見過ごすことの被害を考えれば、沈黙することは日本の未来を手放すことだと考え、いまだにささやかな抵抗を試みている。
ところで最初からこの話は、私の全くの妄想によることをお断りしておく。そのため、これに関する成否の判断はすべて読者の方にお任せすることとしたい。というかそもそもここにはスクープになるような情報は一つもなく、その辺に出回る情報を繋ぎ合わせただけなのだ。とはいえコメント欄は混雑していて改めて当方とのコンタクトを希望される方は、お問い合わせ先を記事の頭に掲載しているのでご利用いただければ幸いだ。
さて円安という言葉が盛んに叫ばれるようになったのは何時からだろうか、おそらくこの状況は2021年半ばから始まっている。因みに同年暮れのドル円は130円ほどになっていることが分かる。ところが米国10年債の金利は2021年の暮れでは1.6%でしかない。つまり為替の方が、これより先に何らかの要因で上がっていたことになる。ということはここだけ見ても「円安は金利差の影響だ」とすることに無理があるのだ。
それでは、このまま米国金利の推移を辿ってみると、今日までほぼ右肩上がりで推移してきていることが分かる。結局金利は先日の利上げを受け現在のところ4.3%あたりになっている。この動きに乗じてマスコミは日銀新総裁に対し金融緩和政策の変更を盛んに叫ぶようになった。と言っても具体的な方法はさておき、とにかく利上げしろ、国債残高はどうするんだという話につきるのだ。
因みに素人の私が金利について調べたところでいえば、短期金利は資金需要に連動し、一方の長期金利についてはこれに雇用と経済成長率、プラスアルファで算出される。そしてYCCのオペレーションになるがこれはほぼ債券買い支えの仕事だ。つまり日銀総裁の裁量で金利が決まるイメージは認識違いと言わざるをえない。
さらにこれに関連してユーロ円の動きを合わせて見ると、やはり円安と国債金利は連動していないことがハッキリしてくる。
というのも現在のユーロ円は158円でユーロ圏の10年債金利は2.64%だ。たしかマスコミは円安の原因は金利差だと言っていなかっただろうか。だとしたらアメリカ国債よりも低い金利のユーロがなぜ米ドルよりはるかに高値を示すのか、因みにユーロとドルの為替相場は2021年あたりからほとんど動いていない。つまりこのことからも為替の動きと金利は連動しているようには見えないのだ。
しかしながら内外から高まるこのような利上げ圧力はYCCの振れ幅を0.5%以上でも認めるという日銀の見解を引き出した。その結果為替はどう動いたか円安に導くことは出来たのか。残念ながら円安はおろかその結果得られるはずのガソリン代さえさらなる高値を更新しているありさまだ。ところがこの金利上昇を受けメガバンクは固定金利の住宅ローンに対し一斉に金利を上げだした、これによっておこる経済効果はハッキリしていて、もちろん結果は景気の低迷になる。しかもローン金利上昇による影響は、その後の日本経済にとって住宅や自動車などの高額商品は、内需を活性するための必要不可欠な消費なのである。
このようなことから利上げは、極端なインフレを抑える効果はあっても決して経済を活性化させる方向には動かない。それではなぜマスコミはこれほどまで日本経済の不活性化に積極的なのか、私は日本の国益を考えるとその行動に合理性を見出だすことは出来ない。むしろ私にとってマスコミの不可解な行動は、あたかもあのカルタゴの例えを自国に向けているようにしか感じられないのだ。