思考ラボ
根源的な祈りの生活
先ほどストーンヘンジをテーマにした世界10大ミステリーを追えというTV番組を見た。以前視た別の番組では、この巨大な建造物が夏至の日を正確に示すことを伝えていた。つまりこの建造物は巨大なカレンダーではないのかという見方だが、そうだとしてもこの遺跡の巨大さは、なぜ必要なのかという問いに答えることはできない。
ちなみにこの遺跡は7メートルと5メートルの石柱を110メートルほどの円径に規則正しく配置され、内側に配された石柱のブルーストーンは陸地と海を渡りはるばる250キロの距離を運ばれて来たそうだ、この遺跡の建設は紀元前2600年ころで、そのころの時代に人力でこのようなことを成しえるためには、それ相応の目的が必要になると思うからだ。この疑問に対し今日見た番組ではこの巨石群は祭祀を行うための音響設備だったのではないかという解釈がされていた。
というのもこの列柱によってサークルの中心で起こった音は、石柱に反射して増幅され中心に向かうというコンサートホールのような効果が計測されていた。さらに音が人体に与える効果の実験では5Hzから15Hzの音について脳波の動きから単なる雑音と違いリズムと脳の同調効果が認められたのだ。
ところでこの5Hzから15Hzの音域というのは人間の耳では音として感じることはできない音だ。ちなみに私が使っているSW1000というサブウーハーは16Hzまでの音域を再生可能なのだが、15Hzといえばさらにその下の音域だ。
番組では超低音域の検証をしていたが、オーディオマニアは逆の超高音の再生まで触手を伸ばす。この音も人間の耳には聞こえない音でデジタルの考え方では不要なものとして処理されてしまったのだが、レコードというアナログの記録媒体には幸か不幸か不要とされる音の情報までしっかり記録されていたのだ。そのためレコードプレイヤーを操るアナログ信者は、世間から懐古趣味の粋狂な人達と思われようと、次々便利で高音質なメディアが出来ても、いまだにそこから離れようとしないのだが、このような番組に出会うと、彼らの行動はむしろ逆に音楽の本質に迫る本道なのかもしれない。
話がついつい脱線してしまった、要するにストーンヘンジとは祈りのための音響装置で、それを手に入れるために古代人はどれほどの苦労も厭わなかったということだ。番組ではストーンヘンジの舞台で演奏されたであろうドラムのリズムに注目していた、あわせて現在のピップホップはそのような太古の祈りに、通じるものではないかとの考察も興味深い。確かにいろんな民族音楽に触れるとリズムには世界共通の何かを感じる。
もしストーンヘンジが本当に音響施設だったとすれば、さらにヒーリング効果の高い超高音域に対しての検証も期待したい超高音域を発生させる楽器は限られる。真っ先に思いつくのは人間の歌声だが、例えば、ホーミングのような特殊な歌い方は人間の脳に安心感や催眠効果をもたらすそうだ。このような歌声による超高音域のアプローチが確認されればストーンヘンジが祭祀の場であったことがより明確になる、もしここで歌声による何らかの効果が認められれば、世界を魅了するアイルランド民謡の美しさも祈りの本質に繋がっていることと言えるのではないだろうか。