２０２３年 心の旅
夜空といえば一番思い出すのが、何故か銭湯の帰り道だ特に冬の夜空には巨大なオリオン座が良く目についた。
中でもベルトの当たる三ツ星と、赤いベテルギウスは５０年ほど昔の記憶にもかかわらずハッキリ記憶に残っている。銭湯から家までの短い帰り道、銭湯を出るとすぐに寒さが襲ってくるのだが、銭湯のお湯で充分温まった体にはその寒さも苦にはならなかった。そのまま石鹸の匂いと湯気に包まれて夜空を見上げると、真っ黒な闇の中に輝く星々が冬の星座を描いていた。
その姿はまるで空からこちらに、しっかり寄り添うように、いつまでも頭の上から離れることがなかった。
その間私は何を考えていたかというと、はっきりした記憶はないが今考えていることと、それほど違いはないように思える。
人は何処から来てどこへ向かっているのか、そしてなぜ向かわなければならないのか、１０分もかからない心の旅だったが、私の心の旅は、あの時から今も続いたままなのかも知れない。