今日は好日
2022年 7月26日 コメンテーター
最近TV番組を視ることがめっきり減ってしまった。特にニュース報道には見えないフィルターの存在を感じている。とわいえ自分としては人に恨みを買ったり、何らかの不利益を被ることも御免こうむりたいところなのだが、やっぱり不満を心にため込むことは健康に悪いので、不満は吐き出すことにした。
さて、そうやってTV報道から逃げ回っていたつもりでも、近頃ユーチューブにまで報道番組が配信されている。今日も円安について識者の方がコメントをされているようだったので、思わずサムネをクリックしてしまった。
タイトルは正確に覚えていないが日銀は必ず負けるというタイトルで、いきなり海外ヘッジファンドの社長が吠えていた。それについて2名の方がそれぞれの立場でコメントをされていたが、私の受けた印象では、日銀が利上げをしないのは納得できないと言いたげだった。私の受け取り方が悪いのであれば、何故日銀が金融緩和を止めないのかのコメントも挟むべきだろう。しかもFOMCの政策と日銀の政策をリンクさせることが、円安の解決策のようにも印象付けている。
つまり番組では、ことさら日本だけが世界に逆行した金融政策を実行しているように話されていたのだ。終いにはこの政策の変更を総裁に促せるのは世論だけだともハッキリ告げていた。私はこのようなコメントが公共の電波に乗って垂れ流されていることの方が余程恐ろしいと思っている。
確かに年金生活者のように自分の貯えが、生活の糧であれば面倒な投資より、預貯金の金利で暮らせる世界は有難いかもしれない。ところが、日本の多くの方にはすでに預貯金の原資すらないというのが現状だろう。実はその一方で、統計では個人資産の平均は30年前のバブルの頃よりも倍以上に増えているのだ、この偏った世界が現実の日本だ。そう考えると金利が上がって庶民が潤うというのはでたらめだと言える。
では一般庶民が切に望んでいることは何か、それは単純に収入が増えることだ。今の年金制度では物価が上がっても年金支給が増えることはない、給与収入の水準が上がらなければ、年金は増えないことになっている。このような環境で金利が上がれば株式に向けられていた資金は必ず金利の高い預貯金に向かうことになる。企業にとっても資金の調達コストが上がれば、利益の確保が難しくなるために社員に支払う賃金は据え置かれるしかないのだ。これではデフレスパイラルを起こしかねない。これほどの悪影響が素人でも心配できるにもかかわらず、立派な経歴のコメンテーターはこのことに全く触れていない。いったい彼らは日本経済をどこに向かわせたいのか悪意が無いことを祈るばかりだ。
金融緩和は日本の企業が元気でいることのために行われている。ところで、経済が大変だと騒がれている現在も過去最高益を更新している企業が沢山ある、そのような企業が日本に利益をしっかり還元できるような仕組みを政治家は考えてほしい。これから海外からの企業進出も増えてくるのかもしれないが、そのような会社も日本にたいして、しっかり貢献できるような仕組みが必要だと思う、それこそが庶民が期待する政治の力だと思う。