今日は好日
2021年 10月26日 日々の輝き
ありふれた暮らしの瞬間瞬間に無限の美しさを感じていく私の思うお茶の世界です。何をするでもない湯を沸かして茶をすする、ただそれだけのことなのに、そこで起こることには亭主が込めた思いのたけがこもっている。それは、茶事の始まる幾月も前からこの瞬間のために亭主が用意したものだ。つまり亭主がしつらえた小宇宙が茶席というものを表している。
特にしつらえの中心となるのが床の間に飾られる掛け軸だそうだ。そこには茶席を用意した亭主の思いが込められていて、客は飾られた軸によって亭主の思いをその空間で共有することになる。また、そこに生けられた花は茶室と外界を繋ぐ架け橋のようだ、いけられた花を通して外界の季節の移ろいを茶室に再現しているのだ。
無駄のない亭主の所作はその瞬間にあるがままの命へと客の心を誘っていく、つまり客にとって一服の茶をすすりその瞬間に起きる心の動きを見つめていくことは、亭主がしつらえた空間に命そのものを感じていくことだ。更には日々の暮らしにある美しさをその瞬間に意識を込めることで、輝かせていくことが出来るのだと。