今日は好日
2021年 11月16日 向こうから来るおっさんになってみる
私がふとしてしまう遊びです。あなたは街の中を散歩しているところです。それはいつもの見慣れた風景です。すると向こうから小太りのおっさんがこちらの方へ向かってきます。
今日は冷たい風が時々吹いて、街路樹の枯葉を巻き上げていきます。良く視ると彼の掛けているメガネは白く曇っていて、きっと今しがた暖かいどこかのお店から出て来たばかりかもしれません。さてここからお遊びの始まりです。あなたはこの瞬間、向かいからこちらへやって来るおっさんの目線になります。あなたは、真っ白に曇った眼鏡をかけ、寒さに震えながら外に軽装のまま飛び出したことを後悔します。
ところで私はおっさんなので違和感ないのですが、そうではない方にはちょっと嫌な気分でしょうか。とにかく外見よりも、おっさんの目に何が映っているのかが問題です。
きっと向かいから来る貴方が見えてくると思います。突然の風にあおられて、貴方はうつ向いたところかもしれません。おっさんの目線になった貴方はそんなあなたを気の毒に思ったかもしれません。
ここで前から来る貴方を観ているのは自分という意識です。鏡の前に立つと小太りのおっさんかもしれませんが、鏡を見るまではあなたです。もっと調子に乗って今度はカラスになって下界を見下ろすのは如何でしょう。あなたの目線は電信柱に留まるカラスです。足元を見るとひとりのおっさんが足早に歩道を通り過ぎようとしています。
おっさんばかり出てきますが、適当に置き換えて頂ければ結構です。少し真面目な話をすると他人目線であなたを観ている自分が本当の自分というやつです。決しておっさんの押し売りではありません。