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今日は好日

2022年12月3日gallery,今日のできごと日々のブログ

2022年 3月5日 サマーディー

この言葉が中国に渡ると三昧と訳されたそうです。人生経験を沢山積んだ方は「中華三昧」と何故かインスタントラーメンを思い浮べた方も多いのではないでしょうか。

さてこの三昧の境地こそ悟りの境地と言われますが、分かりそうで分かりづらい言葉ではないかと思います。簡単に言ってしまえば何かに没頭している状態を指すのですが、先ほどのインスタントラーメンに例えると中華三昧の中華とはズバリ、ラーメンのことを指しています。メーカーが言いたいのは「このラーメンを食べると我を忘れてラーメンに集中している状態になります」と言っているようです。

私も実際頂きましたが、食したことさえ忘れてしまいました、冗談です。ところで、この三昧の境地ですが気になることがあります。それは「貪り食う」ことと三昧の境地はどう違うのかということです。貪る(むさぼる)は貪欲の「どん」のことですが、ラーメンを食べてる姿は傍から見ただけではどちらも変わりありません。どちらも一心不乱にラーメンを食べている姿が思い浮かびます。

これは私の考えですが、貪るというのは一生懸命ラーメンを食べているようで、意識は別の未来に行っています。つまり今目の前にあるラーメンではなく「このラーメンを食べ終わったらどうしよう、もっと永遠にこのラーメンを食べていたい、そのためにはこの麵を一本づつ口に運ぼう、いやいやそれでは手ぬるい、いっその事、売れ切れる前にもと買いだめしよう」と言うようにラーメンに没頭しているようで意識はラーメンから離れてしまっています。

これが、三昧と貪るの違いです。三昧はその瞬間の味わいに浸りきることです。つまりその瞬間に意識が集中している状態なんです。ところで、意識を集中させるというとアニメや漫画のように手を突っ張ってこめかみに青筋を立てたりしている姿を思い浮かべる方がいるかもしれませんが、あれは漫画での表現です。本当の武道家はあのようには力みません、むしろ構えないで相手の動きに合わせようとします。その方が素早く対応できるそうです。

話がラーメンから武術の世界に行きそうになったので、仕切り直します。本当は絵を描くことのサマーディーについてお話したかったんです。(-_-;)今日アップした絵はオリオン18です。この地面の表現なんですが、砂のように見えませんか、この表現は暗い色と明るい色の交差によって表現しています。

つまり、暗い色の上に明るい色を載せますが、この作業を何度も繰り返します。ただし下の色が微妙にわかるように絵具を置かなければなりません。実際の作業を見るとただ色を変えて塗ってるようにしか見えないと思いますが、そのためには5ミリほどの筆先に絵具を載せて絵具を置くという作業を繰り返しています。

この絵はF100号の縦置きなので、縦の長さは164センチあります。ここに穂先が5ミリほどの平筆で挑むのですから、この作業を誰かに強いられたとすればたんなる拷問と感じるかもしれません。

でもこれは自然と自分が好きで始めた作業です。この作業に対し何ら疑問もわきません。この作業を朝から晩まで場合によっては幾日も繰り返すのですが普通の精神状態では持たないと思います。ただひたすら時間を忘れて絵具を置きつづけること、これが私のサマーディーです。結局結果を求めないからこその時間の使い方なのだと思いますが、ある意味これこそ贅沢三昧というものでしょう。