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日々これ切実

2025年6月14日ようこそ

2025年 6月13日 趣向と粋

先日放送された落語研究会で、考えすぎかもしれないが、ひょっとしてこれは柳家喬太郎氏の仕掛けた趣向ではないかという場面があった。柳家喬太郎氏といえば年齢にもかかわらず白髪で、この後に続く師匠の柳家さん喬氏の黒々とした頭髪とは対照的なのだ。ところでこの日は喬太郎氏の頭髪がまるで白いベレー帽でも被ったようにいよいよ白く感じていた。その後登場した師匠の黒々した頭髪を見ているとこれではまるで碁石を並べたような取り合わせに視えた。碁の世界では黒が先手のはずなのでこれはきっとあべこべを狙った趣向ではないかと思うのだ。実際の年齢にすれば一回りも違う師弟だが、ここは師匠の若々しさを弟子の喬太郎氏が演出したかったのではないかと勘繰ってしまった。趣向といえば落語に錦の袈裟という噺があるが、それと比べれば何とも品のいい趣向だった。

さて、噺の上手さは言うだけ野暮の師弟だが、この日柳家さん喬師匠の芸に対する直向きさには改めて驚かされた。なにしろ幽霊が酔っ払って長唄やしゃっくりしながら都都逸を口ずさむところは、何とも艶っぽく磨き抜かれた芸の凄さを見せつけてくれた。

その後、続く桂吉坊氏の「兵庫渡海鱶魅入」今回も何故か氏の噺は舟にまつわる演目だった。しかも今回は最初から舟上での噺になる。それにしても風が吹いたり波で揺れたり、賑やかな処へ急に海の底に住む鱶(フカ)に乗客が魅入られてしまい舟が止まるなど、この場面を説明するだけでもしんどい噺になる。これにストーリーを載せて最後まで飽きさせないのだから想像するだけで大変なことに思える。

この放送のトリは入船亭扇橋氏で不幸者だった。因みに桂吉防氏と扇橋氏では年齢的には扇橋氏の方がお若い。しかしながらTVの見た目では扇橋氏の方が落ち着いて見えてしまう。これが本人にとって得なのか損なのか分からないが、世の中若作りをする方が色々お金が掛かるようなので若く見えることは結構なことに違いない。

 

 

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Posted by makotoazuma