日々これ切実
2026年 3月28日 美しきドラマ

昨日は朝ドラ「ばけばけ」の最終回だった。このドラマは小泉八雲の伴侶、小泉セツが主人公のドラマだ。このドラマでは松野トキ、最終的に日本の戸籍を夫に取得させるために元の戸籍である雨清水トキに戻すことになった。この時、松野トキがうしみつどきに成ったと大笑いする場面があった。こんなダジャレを脚本にまで盛り込むあたり「自由だな」という感想を持ってしまうが、そんな自由を可能にさせたのが、今回ヒロイン役に抜擢された髙石あかり氏だろう。
これについてのエピソードは、錦織役の吉沢亮氏があさイチという朝ドラに続くバラエティー番組で披露していた。なんでもトキの夫だった銀次郎を東京の下宿まで追いかけてきたシーンで、トキが銀次郎を待ちそびれ寝込むシーンがあった。まもなくそこで驚くほど大きなイビキが聞こえてきた。このシーンはなんと髙石氏のアドリブなのだという、ということはそれに続く吉沢氏がこれに驚く様子もアドリブになる。今回のドラマの成功はこのような俳優陣のたぐいまれな才能に支えられてきことは間違いない。
つまりこのような演技力が、この美しいドラマの最終週を支えたのだと思う。さて演技力といえば嘗ての朝ドラマッサンのエリー役、シャーロットケイトフォックス氏は今回アメリカで八雲の成功を応援するイザベラ役で登場するが、八雲最後の作品となる怪談が書かれた経緯を知り激昂する。この場面の衝撃は八雲の才能に異国で期待するイライザの思いがどれほどの思いだったのかが込められている。
因みにこのドラマの美しさを最後まで際立たせていたのは、様々なシーンで演出される映像美だったと思う。なかでもBGMや台詞もなく海を背景に逆光で手を繋ぐシーンなどは往年の青春映画を思わせるようで嬉しくなる。このような演出は青春に憧憬を抱く世代にとっては壺になる。あの頃の若者といえば誰もが皆、人生というものにこのような憧れを抱いていたのではないだろうか。さてこのドラマの最も感動的なところといえば、私はこのドラマが何気ない日常を愛おしむように生きることに、ことさらスポットを当てていることで、そのことをトミーバストゥー氏と髙石氏のコンビは、とても親しみやすい形で日本全国に伝えてくれた。
こういうドラマを楽しめる時代が、これからも末永く続いて欲しいものだと思う。