日々これ切実
2025年 6月19日 藍より出でて藍より青し
弟子が師匠の薫陶を受け成長していく様をたたえる言葉だそうだ。とはいえこの言葉をネットで調べると漫画のタイトルで一杯になる。またこの言葉は日本の何々道という武芸全般にも使われていて、型に入りて型から出でよという守破離の言葉はそれに通じている。ところがこれと比べて昨日話題にしたダダイズムという世界的芸術活動は、日本の守破離とはまるで対極にあるようだ。
つまり、ダダイズムが浸透しやすい文化圏と守破離を重んじる日本文化圏には真逆の感性を感じるのだ。結局どちらが文化の趨勢かといえば、日本の守破離は絶滅危惧種に相当する劣勢状態にある。
ところで、近頃話題のインバウンドは、初めから海外旅行客といえば分かり易いのに、わざわざ彼らの言葉をまねようとしている。ただでさえ劣勢な文化圏の日本人がこれにより、さらに肩身の狭い思いをしているのだから笑えない。さらに言うと、これではせっかく日本文化を楽しみに来た海外旅行客は、折角日本に来ても改めて日本文化を探し回らなければならない羽目になる。それが証拠に今では海外旅行客で常ににぎわう都心より、旅行客が稀な田舎まで海外旅行客で溢れているという。
だからと言ってわざわざ海外から日本を訪れる観光客が日本の文化を脅かしているなどと言うつもりはない。大枚はたいて日本文化に触れようと思うこと自体が、すでに特異な感性のように思えるからだ。何を言いたいのかといえば、彼らこそ日本人以上に日本文化に憧れた存在ではないかと思えるのだ。つまり、現在日本人が肩身の狭い思いをしていることは、インバウンドが悪いのではなく地域住民と軋轢を生む環境整備が整っていないと言う事で、これに気を止めず誘致ばかりを急ぐ体制にこそ問題があると思うのだ。
このような地域住民との軋轢を防ぐために外国人観光客を迎える側は、真っ先に地域住民との折り合いを優先する必要がある。そのためにまずは法整備や治安維持の充実を図ることが必要だろう。さて世界には、このように貴重な環境を保護するための指針がある。それは世界自然遺産の規制で、これと同じ配慮を日本の観光地にも適用してもらうことが必要ではないだろうか。