日々これ切実
2026年 2月11日 引かれた線路は

朝日新聞の記事によると赤沢大臣は本日から昨年7月下旬の日米関税合意で決まった、5500億ドル(約85兆円)の対米投資について詰めの協議に臨むという。この話題が出た昨年7月時点でも誰がそんな投資を行うのかという話題がネットで騒がれていた。こんなことを政府が言ったのなら当然政府だろうと思っていたら、これは民間企業が投資をするので、政府は関係ないという答えが前総理から帰ってきた。とはいえその舌の根も乾かないうちに財政が厳しいので社会保障費を削り、保険料を上げなければならないと言うので、開いた口がふさがらない。当然こんな総理だったので、この時の連立政権は迎えた参院選、衆院選でも記録的な惨敗を記すことになった。
ところで今回の関税交渉は国をまたいだ約束事なので、政権が変わったからといって以前の約束は無かったことにはできない。政権が変わっても日本に出来ることといえば、まだ締結に至っていない条件を見直すか、アメリカにとってさらに良い条件を提示して枠組み自体を見直してもらうかしかないだろう。特に今回の交渉はアメリカの主張と赤沢大臣から伝えられる説明に食い違いがあったという。とはいえ、大臣には少しでも日本の国益となるよう粘り強い交渉を期待するしかない。できれば、この投資による利益配分を見直すことや、これほど投資であれば決済を円建てか、或いはスティーブルコインを使えないかなど交渉の余地はないのだろうか。
さらに今回の関税交渉全体のことで言えば、そもそもアメリカの主張は不当な対米黒字を減らして両国の公平な貿易環境を整えましょうということではなかっただろうか。とはいえ、これに農産物を入れられるのは大変危険に思う、というのも農産物は食料に受給率を示すものでありこれを確保できないままの交渉は危険である。中でも、日本にとっての米は、日本文化を象徴する農産物であり、これを貿易交渉の材料にすべきではないだろう。
そもそもこの関税交渉で最も注目されなければならないところは、消費税という日本の税制である。つまりこれが他国からすれば不当な貿易関税と見做されても仕方がない側面を持っているからだ。というのもこの税は、すべての輸入品に対しても小売り時点で掛けられてしまう税なのでる。例えば、表面上はアメリカの自動車に掛けられる関税はゼロだと言っても、実際は小売りの段階で10%の消費税が掛けられてしまう。ところが一方日本側からアメリカに輸出される自動車にはこの消費税分は後から還付される仕組みになっている。つまり、日本の輸出車には政府の計らいでダンピングの支援を行っているように受け取られかねない。確かに自動車といえば日本経済の牽引者には違いないが、そうだとしても彼らが手にする利益を国内に還元できていないことが日本経済の停滞を招いているのではないだろうか。
ところで、消費税といえば、食料品の税金を0にするという案が自民党以外でも出されている。ところが、この政策には極めて重大な懸念がある。それはこれが導入されても、食料品の価格が下がるとは言い切れないところだ。しかしながら、これを補う資金為の資金は必ず予算に計上しなければならなくなり、返って財政を圧迫してしまう可能性がある。さらに言えば今回の関税交渉で大変不利な条件に追いやられる農家にとってはまさに死活問題になる。というのも輸入量を強制されることになれば、これに対抗しなければならない農家にとっては、更に過酷な価格競争に耐えねばならないことになる。因みに現在アメリカとの貿易で日本の農家はどれほどの黒字を得ているのだろうか、このことを無視して農産物の輸入総量を政府が決めてしまうのは、日本の農家にとってやり切れるものではない。極端なことを言えば貿易黒字が問題なのであれば、それで潤った企業の負担を重くするのが当然だ。ところが現実は貿易黒字に潤う企業は、税の負担を重くされるどころか消費税の還付を受け、その付がそれほどの利益を得ていない企業にまでおよび、15%の相互関税により利益を圧迫されている。
引かれてしまった線路
ところで自民党が公約とした食料品だけ消費税0にするという政策は、実際にどれだけ国民の支持を得ていただろうか。私の受ける印象では、国民には全く評価されていないように見えている。というのもこの公約は対立していた中道も選挙公約の目玉にしていたが、今回の選挙でこの党は惨敗し、それまで有していた100以上の議席をすっかり失う異常事態になった。もしこの公約を国民が望んでいたとすれば、この党がこれほど惨敗することは無かったはずだ。しかもこれを以前から公約としていた連立を組む維新も、連立与党を目指しているにも拘らずそれほど議席を伸ばしていない。因みに今朝ほど放送されたTVニュースでは高市内閣の支持率は67%なのに対し自民党の支持は40%で、ここには30%近くの開きがある。つまり今回の選挙結果は高市総理への期待が自民党の圧勝に繋がったと見るべきで、国民が自民党の選挙公約に期待して票を入れたとは言いきれない。恐らく国民は私と同じように、今回示された選挙公約は、少数与党の大変厳しい中で掲げた精一杯の公約であると思っている。それが分かるからこそ国民は自民党内に残る高市総理に批判的な勢力にも目をつぶり票を入れたのだと思う。つまり国民は高市総理には自民党総裁としての強い指導力にも期待しているのだ。
さて本日は紀元節、皇統の歴史は今日で2686年を迎えることが出来た。大切なのは神武天皇が即位されこれまで皇統が途絶えたことは一度もなかったということで、世界の歴史を見ればいかなる王朝も栄枯盛衰の憂き目にあうのは必定だ。ところが、不思議なことに日本だけは違っていた。今回の選挙もこれほど世界中が混乱し、人類が生きる価値観さえ見失おうとしている時に、日本人は結束してこの国を守る選択をした。私はこの選挙結果も日本の奇跡ではないかと思っている。我々は間違った線路を引いてしまったように感じていたが、再び更生のチャンスが訪れたように感じる。どうか日本の未来に希望が訪れますように。