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日々これ切実

2026年5月7日ようこそ

2026年 5月7日 常若の芸

現代の日本人といえば科学技術や経済などを思い浮かべるが、昔から日本人の興味といえば、なにより人情の機微を楽しんでいたように思うことがある。先日も落語研究会というTV番組で「徂徠豆腐」という演目があった。これは学問の為貧困生活に甘んじる荻生徂徠を豆腐屋が無償で援助するという人情噺で、荻生徂徠といえば現代の教科書にも載る著名な儒学者になる。しかも番組の解説によるとこの話は年号も特定できる確かな実話なのだという。

実際は豆腐やおからを毎日届けていただけでなく、荻生徂徠を下宿させていたというのだから、この豆腐屋は噺よりずっとお人好しだったのだ。また番組ではこの話は元禄15年の話だと紹介していた。講談好きの方は「時は元禄15年」といえば「討入りの日」を思い浮かべるだろう、実際に荻生徂徠は赤穂浪士の処遇を決める際、意見を述べていた記録がある。因みに荻生徂徠といえば儒学者と紹介されているが、氏の教えは後に国学の基礎を築いた本居宣長や水戸学派にも繋がる。さらに言えば荻生徂徠の姓は、物部氏に繋がっているのだそうだ。豆腐屋の美談で終わるつもりが、このままでは明治維新まで続いてしまいそうになる。

さて気を取り直して落語の話に戻すと、今回この演目を演じたのは三遊亭兼好氏で通常このような人情噺の時は枕も粛々と進められ、心に余韻が残す演出が一般的だ。ところが今回の氏の高座は枕から爆笑が絶えなかった。つまり意図してこれまでの人情噺に笑いを盛り込むチャレンジをされたのだと思う。残念ながら現代人にはこのような横文字の方が馴染みやすくなってしまった。これを古典的な言い方に直せば「守破離」という言葉になるだろう。要するに伝統を守るということは、寸分の違いもなく同じことを続けるのではなく、伝統を打ち破ろうとする思いも必要なのだろう、これをさらに神道的な解釈に直すと常若の精神となるのかもしれない。

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Posted by makotoazuma