盾つく虫も好き好き
2025年 10月20日 国防論
まず初めにお断りしておきたいのが私は軍事などの知識はないといいつつ、初めから文責の逃げ道を作っておく。このようなことも戦の鉄則で、私は背水の陣が有効なのは相手の補給に限界があることを見切った場合だけのように思っている。
さて軍事などと言えば、現代においてはあまり好ましい話題に思われない。しかしながら今騒がれている政局が日本の未来を左右していくことを思えば、何とかより良い日本の未来を願い、本日はあまり望まれない話題を取り上げたいと思う。というのも現在の政局は日本経済の行末が最も注目されているところだが、そうだとしても内需を活性化させ経済発展を加速させようとすれば、日本の場合必ず海上輸送の安全が問題になる。ここを無視して積極財政を進めれば、場合によってはハイパーインフレに陥る危険性すらある。つまり経済優先の政策を試みようとしても周辺国との関係をどのように安定化させるかが経済政策の鍵になるのだ。
このような環境で軍事力だけを突出させても、早晩日本は経済衰退の憂き目にあってしまう。このような観点からいえば日本はむしろアジア太平洋の平和に積極的に貢献することが望まれるからだ。
その為には少し飛躍した考えに思われるかもしれないが、私は憲法9条の廃止による国軍の創設が必要と思っている。
とはいえ、日本が正式に国軍の保有に踏み切った場合、周辺国が身構えてしまうのも明らかで、そうだとすれば、これにより周辺国が受けるストレスを軽減させる配慮も必要になる。例えばこれまで日本は日米安保により軍事といえばアメリカ軍にすべて依存してきた。そのため日本国内にはアメリカ軍基地が多く存在したままで、その結果北方領土問題や沖縄基地問題などは現在まで問題解決の見通しが立っていない。これらの問題解決の糸口として日米安保の見直しが必要であり、その根拠である憲法9条の廃止によってようやく国軍の保有が可能となる。
更にこれを深掘れば、防衛戦略まで言及せざるを得なくなる。というのも前政権で持ち上がったスタンドオフ戦略だが当初から私はこの反撃能力に疑問を持っていた。というのもこの反撃能力は日本の防衛に役立つどころか、場合によってはとんでもない足かせになるものと私は考えているからだ。このことを示す具体的な例として大東亜戦争において日中戦争の拡大が太平洋戦争に繋がり、これによって無抵抗の日本国民が犠牲になってしまった事実がある。要するに局地戦で済ませるはずの見当違いが日本本土を焦土にした総力戦に繋げてしまったここでどちらが悪いと議論するよりそのような隙を与えたことが敗因に繋がったとするべきだろう。この轍を二度と踏まない為には、いかなる軍事衝突が起こったとしても、決して国家同士の総力戦まで拡大させてはならないと言う事だ。
このような視点からも長距離ミサイルの攻撃というのは、あっという間に日本国中を戦禍に巻き込み総力戦に向かわせる危険性を孕んでいる。このような戦略に対し馬毛島のような鉄壁の要塞化による防衛は、戦線の拡大を最小限に留め民間人への攻撃も極力抑える効果のある戦略だろう。つまりこのような施設への攻撃では艦船から攻撃に対しての報復だけに集中できる。要するに上陸されなければ占領される可能性は無きに等しい。結局艦船からの飽和攻撃に勝る短距離兵器を保有し数で上回れば負けることはないのである。これにより他国は、この周辺海域では容易に武力行使の出来なくなる。しかもこれにより周辺国に対しても不要な緊張を強いることなくなり永続的なライフラインの維持が可能になる。
しかもこのような戦略を用いればよほど外交に失敗しなければ核兵器の出番は無くなる。というのも長距離ミサイルのメリットはどこから攻撃したのか分からないステルス性にあり、また分かったにしても発射地からは距離がありすぎ容易に報復できないことにあるはずだ。とはいえこのような優位性は同等の兵器を保有していない国には通じるが、すでに同等以上の兵器を保有している国相手であれは、どんなメリットが期待できるだろう。そればかりか相手国が核兵器を保有していれば通常弾頭で報復されると考えるよりも、核弾頭の報復を受けると考えるほうが現実的だろう。このようなことを考えれば長距離ミサイルの保有は日本にメリットをもたらすよりも、果てしの無い不安をもたらすことになる。
そんなものを揃えるよりも、法律の整備と国軍創設により兵士の誇りを回復させ、兵員の増強により部隊の充実を図ること、また将官の給与の見直しにより、専門性の高い情報機関における充実も急がなければならないだろう。例えばこのようなスキルの高い兵によりアメリカのゴールデンドーム計画に日本が参加できれば、日本が太平洋の盾となり心強い盟友になり得る。また、日本がサンフランシスコ条約以前の領土問題に関わらないことを宣言すればロシアの北方領土に対する戦略も変わる可能性がある。
現在日本を取り巻く環境を見れば対応を一つ間違えば取り返しのつかない事に成りかねない。他国を不用意に刺激することは避け、むしろ柔軟に歩み寄る姿勢を示すことが、これからの政権運営を安定化させ発展させることに繋がるはずだ。世界もそれを望んでいるのではないだろうか。