今日のできごと
2021年 1月25日 ヘレンメリルがやってきた
15年程前の、はこだて赤レンガ金森倉庫群 金森ホールで、ヘレンメリルのコンサートがあることを新聞の広告で知ったのですが。にわかには信じられず何度も記事を見返したことを覚えています。
彼女は、それほど伝説の人でした。私が記憶に残っているのが、阿川泰子さんがカバーしていた「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」1980年代日本のジャズブームに火をつけた歌です。1度、曲を聞いたら皆さんすぐに思い出される方が多いと思います。
で私との出会いは、jazzのベスト盤のような、そんなCDアルバムからでした。JAZZを知りたいならいいから聞いとけみたいな感じです。そこに登場するアーティストも伝説の人のようで、他のアーティストではビリーホリデイ、サラボーン、ドリス・デイなど、神代の人々といった方がわかりやすいように思っていましたが、そうではなかったんですね。
彼女の歌声からのイメージは、妖艶な魔女を想像していたんですが、実際の彼女は、水色のドレスを着こなし、清楚でチャーミングなイメージの方でした。
歌の合間にも楽しそうにお話をされていたんですが、話題がプレスリーやポールアンカなど恐ろしいほどのビックネームが飛び出していました。
で、私が、一番驚かされたのが、あの名曲ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥを歌われた時でした。年齢を計算すると70代後半のはずです。それなのに、私が持っているCDとほとんど変わらない声で歌われていました。
彼女の特殊な声は作られたハスキーボイスではないんですね、だから、いつまでたっても張りがあって、声がとおるんです。
人の声は、人を共振させる力があります。簡単に言えば揺さぶることが出来るんですが、それは、耳でしょうか、頭でしょうか、実は、いにしえの人類がすでに会得してきたことなんですが、ある種の倍音を多く含んだ歌声は、直接魂を揺さぶることが出来ます。
それは、遊牧民が用いるホーミーなどの特殊な歌い方で魂に語り掛ける作用があるとされています。自然に備わったハスキーボイスって、声だけでも人の魂を癒していくことが出来るそうです。そんなすてきな歌を時空を超えて伝えてくれた、夢のような、とても素敵なひと時でした。