今日は好日
2022年 6月12日 日本の魂を護れ!
さきほど、TVで世界で最も貧しい大統領と言われたムヒカ氏のドキュメンタリー映画が放送されていた。偶然TVに映った場面で、彼が語っていたことは、明治維新によって日本人は欧米と並ぶ技術を取り入れることができた。しかし同時に日本の魂を失うことになったと言っていた。残念ながら番組を最後まで見ていなかったのでムヒカ氏が語る日本の魂が何なのかについては述べることが出来ない。
ところで、昨晩私はあるニュースを知り、是非記事にしたいと意気込んでいたところだった。それは明治神宮の再開発を巡る騒動についてだ。
現在明治神宮では神宮の外苑の再開発のため森の伐採を計画しているそうなのだ。さしあたりその資材置き場になる場所を確保したいそうなのだが、そのためには森の木を900本以上伐採することが必要なのだそうだ。この森については、以前NHKのドキュメンタリーで詳しく紹介されていたが、日本人の叡智に誇らしく思ったものだ。
なにしろ都会のど真ん中に人工の森が造られ、100年以上手つかずのまま維持されてきた。その森は人間の視点から単純に緑を求めて植樹された公園では無い、ノアの箱舟を彷彿させる3000種にも及ぶ植物によって完全な生態系が生まれている。その見事さは、南方熊楠氏がそこに産まれた粘菌を研究対象とされるほど独自で完成された世界が広がっている。
またこの森を維持していこうという日本人の強い意識は人類史上にも例がない、因みにこの森はGDP世界3位の国の首都にあり、その規模は人口2000万人を超える超過密都市のど真ん中にある。実際、航空写真などでこれまで繁栄を極めた都市の航空写真を見て頂くと決して大袈裟な表現ではないことがわかると思う。鬱蒼とした緑に囲まれた大都市など世界のどこにも存在していないのだ。
それにしても、我々の祖先はこの森を守るためにどれほど、空腹を我慢し森の行く末を見守ろうとしていたのかを思うと、その思いに胸が詰まる。東京はご存じの通り関東大震災や東京大空襲など2度の大きな災害にあっている、東京大空襲では社殿すら丸焼けになるほどの被災を受けながらも、この森を荒らして自分たちの糧にしようなどとは思わなかったらしい。この森の存在は自分を顧みず、それほどにまで現在の我々に日本の魂をつなごうとした祖先の意志を表している。
つまりこの人工の杜こそ日本人の叡智、魂の象徴ではないか。日本人の魂とは、文字で伝えられるものでは無い、むしろ自然が示すところの宇宙の在り様そのものではないか、つまり清らかな命が循環する世界と自分たちが共存してゆこうとする意識表れではないかと思っている。
現在の日本人はお金の流通と命の循環を同義に捉えていないだろうか、ムヒカ氏が指摘する日本人から失われた魂とはこのようなことではないかと思っている。
ところで、今回このようなことを記事にしようと思ったきっかけは、明治神宮と言うむしろ自分たちが日本人の魂の拠り所でなければならない立場での騒動だからである。自分たちが守らなければならないのは、雇用や社ではない日本人の魂そのものだ。天の導きを切に願う。
ロシェカップさんと言う方が伐採中止の署名を集めています。またユネスコの諮問委員会からも伐採の代替案が出されているそうです。😭