今日は好日
2022年 6月21日 歌は世につれ
今日は夏至、お天とうさんが一番高く上る日だ、と言うことは明日からどんどん日が短くなる。と急に寂しい気持ちになるのだが、そんな思いでいたら、昔流行った八代亜紀さんの「舟歌」が急に頭をよぎった。その歌詞は「お酒はぬるめの燗がいい、肴はあぶったイカがいい」という始まりだ、うらびれた居酒屋でひっそりとお酒を楽しむ様子が目に浮かぶ、このような歌が流行るということは、ほとんどの日本人がこの歌詞に共感していたということなのだが、最近ではこの歌を取り巻く環境が変わってきている。
何かといえばイカが全然取れないのだ、私は函館と言う港町で育った。海辺に行くとスルメイカが暖簾のようにあちこちで干されていたのだが、そんな光景も最近はめったに目にすることが無くなった。昔は水産加工場の近くに行くとさばかれたイカのゲソ(足先)や目ん玉がドラム缶一杯捨ててあったのだが、今はそんなゲソさえスーパーでは丁寧に包装されて売られているのだ。
結局のところ、歌の世界もその時代に暮らす人々によって消費されるべきものなのだろう。
「歌は世につれ歌につれ、時代を超えて語り継ぎたい歌がある」と言われるがその歌が世に出たということは、時代がその歌を望んだということなのかもしれない。
最近私は時代の移ろいを特に激しく感じる。ということは時代に対する思いも、それにつれて移ろうものなのだろう、だとすればその時代にしか伝えることのできない表現がある筈だ。