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今日は好日

2022年12月3日gallery,今日のできごと日々のブログ

2022年 8月28日 臨書

今朝はだいぶ涼しくなって、ますます寝床から出るのがつらかった。これは着実に秋が近づき、過ごしやすくなっていることを示している。とはいえそこから受ける思いは春の浮き立つ思いとはまた別の思いだ。こういう季節には、何故か墨の世界が良く似合う、なにせ枯れてこそ味わいがある世界だから、そこを味わうためには元気溌溂の世界を一度通りすぎる必要があるようだ。

かなり負け惜しみに近い感慨ではあるが、日本人はこの世界にこそ、美を見出そうとしている節がある。いわゆる芸術の秋なのだ。そんな思いに駆られて私は書棚に収まる現代書道全書というオークションでうっかり落札してしまった書籍を手に取った。

改めて観ると初版は昭和45年定価は1100円となっている、当時はコーヒー1杯100円しなかったそうなので、当時の価値から言えば1冊5000円を超える書籍だ。これが全部で5巻のセットなのだ、つまり余程覚悟を決めた人でなければなかなか手が出せない書籍ということなのだ。

そんな前所有者の強い思いを感じながら、今朝はその中の行書の巻を臨書してみた。字のできについてはよくわからないのだが風と月という文字に、私は心を惹かれたことは間違いない。

いづれも時の移ろいを象徴する言葉だが、昔の日本人は決してネガティブなイメージだけで捉えていたのではないと思っている、むしろ移ろい去ってゆく景色を受け入れつつも、悠久に存在する不動の世界を感じていたのではないだろうか。

だから、移ろい去るものを眺めることはつまり悠久の世界を感じることなのではないだろうか。