今日は好日
2022年 10月16日 遺作
昨日は展覧会に飾られた友人の絵の前で在りし日の思い出を他の会員の方と語っていた。友人といっても大先輩で中央画壇で活躍されていた方なので失礼に思うのだが、この会には世代を超えてのお付き合いがあって、まるで作品の前ではすべてが平等という気風を感じる。
ところで、この作品は新制作展でも活躍されていた大橋弘子さんの作品で、様々な素材を組み合わせたおしゃれな作品だが、その素材を収集されるときのお話が面白かった。早朝の浜辺を流木や錆びついた歯車など家じゅう、作品の素材が運び込まれたそうだ。
また制作風景にも鬼気迫るものがあったそうだ、ある時はそのか細い腕で、左官職人よろしくセメント捏ねて画面に置いたり、またある時はガスバーナーをもって作品の表面を焼き焦がしたり、とうとうしまいにはアトリエでボヤ騒ぎになり消防車が駆けつける事態になってしまったそうだ。私はこれほど年齢に関係なく制作に取り組まれた姿に頭が下がる思いがする。きっとあの世に行ってもそんな思いは変わらないだろうと思う。彼女には安らかなどという言葉はまったく似合わないのだ。
「ゆく秋を 友の遺作に 励まされ」