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独立自尊 奥の細道

2024年7月18日gallery,ようこそ,絵本墨絵 俳句

あやめ草足に結ばん草鞋(わらじ)の緒

わらじのはき方5.jpg

ところで皆さん草鞋(わらじ)ってご存じですか、写真にあるのが草鞋なんですが、鼻緒のほかにも紐のようなものが映ってますが、これは紐ごと藁で編まれた草鞋です。で履くのも結構大変そうです。

ところで、私たちに馴染みがあるのは、こちらの草履の方ではないでしょうか。

こちらはとってもシンプルで、草履(ぞうり)と草鞋(わらじ)では用途がまるっきり違うべつものです。

長距離の旅に使うのは草鞋、普段の用事をたすときは草履を履きます。

さらに草鞋の中でも種類があって、ごんず草鞋という布と藁のハイブリット草鞋があります。別名武者草鞋ともいわれ強度や履きやすさの両方兼ね備える優れものだそうです。

さて本日のテーマ「あやめ草 足に結ばん 草鞋の緒」ですが一見草鞋の鼻緒をあやめ草で挿げ替ましょうと言っているのかと思ってしまいますが、ハッキリ言ってそれは不可能です。

ではこの句は何のことを言っているのでしょうか。可能性は2つあると思います。一つは文字通り紐の間にあやめ草をねじ込み薬効を得ようとした。もう一つは餞別に貰った草鞋の紐が青く染まった布で覆われていた様子からその紐をあやめ草に例えたというものです。

芭蕉の旅はこの時、仙台のあたりにさしかかります。そこでの名士や俳諧仲間に案内を頼ようとするのですが、この時は何故か誰ともうまく行き会うことが出来ません。最後に頼った俳諧師の大淀三千風とも会えず、憔悴しきったところで三千風の弟子の版画絵師加右衛門に出会います。芭蕉は俳句の心得のある加右衛門をとても気に入ります。おそらく「いにしえの歌人」についても造詣が深い方で芭蕉はその案内によって容易に仙台にある宮城野あたりの名所を訪れることが出来ました。

さらには加右衛門との別れ際、芭蕉は加右衛門から餞別として松島の案内図と草鞋を2足貰います。その草鞋とはごんず草鞋といって藁に布を編み込み紐のところに布が来るように編み込まれていました。この布は藍で染られていて、まるであやめの花のような青さです。

この藍の青とはまさにインディゴブルーいわゆるジーンズの色です、アメリカ開拓時代、インディゴ染めはガラガラヘビを避けることが出来ると思われていたようです。日本でいえばマムシよけの効果があると思われていたのかもしれません。

芭蕉はこの心配りに感極まり「風流の道の痴れ者は、この心遣いで、その本領を発揮したというべきだ」という凄い言葉を残します。「芭蕉の天才を引き出したのは加右衛門の心遣いだ。」こんな具合でしょうか。ここまで芭蕉が歓喜したのは、取りも直さず、ここまで結構しんどい思いをされていたということでしょうか。この草鞋に編み込まれた紐の藍色をあやめの花の色である青に例え端午の節句にちなみ季節を読んだのではないかというものです。因みにあやめとハナ菖蒲は細かく言えば時期も形も違っていますが、同じあやめと呼んでいいそうです。