今日は好日Vol.2
2023年 5月22日 G7サミットから国民が理解したこと
このサミットから国民が受けっとったメッセージは、ウクライナの戦争はさらに継続されるということだ。しかも日本がこの仲裁に乗り出すこともなく、むしろ西側として一方に軍事力の提供を約束するという暴挙に至ってしまったことだ。このことが意味するところは、戦争の解決をさらに困難なものにしてしまったにもかかわらず、なぜか日本の世論は落ち着いている。私がこのことに違和感を強く感じるのは、以前あった国葬反対運動のエネルギーは戦争の危機がいよいよ高まっているにもかかわらず全く感じられないことだ。
いったいあのエネルギーはどこに消えてしまったのだろうか、というのも私はあの運動が安倍氏が強行した集団自衛権に対する平和の思いだと思っていたからだ。ところがいよいよ平和の危機が近づいたいま平和を望んでデモが起こっているようには報道されていない、この状況を見るとあのデモの目的はどうやら別のところにあったらしい。
さて、この結果を受けて早速、ロシアからバフムト制圧の報が届いた。伝えてきたのは先ごろまで弾薬をよこせと騒いでいたあの強面の人だ。あれから幾日も立っていないはずだが、撤退するどころかうっかり占領してしまったということなのだろうか、それにしてもサミット閉幕と同時に伝えられたこの情報に意味がないはずはない。おそらくこのタイミングでこの情報が伝えられたということは、あの時すでに勝敗の行へは見えていたのかもしれない、ということはロシアがG7の結果に期待して勝敗が決することをわざと先送りにしていた可能性がある。つまり停戦による平和的解決を望んでいたということではなっかったのか。
もしこれが事実だとすればドンバス地方におけるロシアの優位性を内外に向けて宣言したことになるのだ。このことによって今後ドンバス地区をウクライナが奪還するとなれば武力での解決よりない、というのもこのことでウクライナは自ら2度も平和解決の道を閉ざしたことになるからだ。巷では軍事侵攻による問題解決は許されないとしているが、ドネツクは州は2014年からドネツク人民共和国として独立国の宣言をしていた。これに対し耳をふさいでいたのは西側だったのではないか、しかも今回は住民投票で9割の住民がロシア併合を望んだことになる。西側はこのような事実を伏せて、逆にドンバス地区への侵攻を行うというのか。これではどちらの勢力が侵攻進めようとしているのか疑問である。
このような状況にもかかわらず残念ながらサミットの結果は、この戦争を継続させ、そのことにより世界中から天井知らずの戦費がこの戦争に注ぎ込まれることになってしまった。戦争推進派からすれば、まさに満面の笑みがこぼれる結果となったのだが、このことによりおそらく日本はこれから兆を超える支出を求められるに違いない。しかもそこで支払われたお金によって、さらに多くの人命が失われていく、おまけにそれをしっかり見張るためNATOは東京に監視所を設けるのだそうだ。
このような事態であっても台湾有事に際し、NATOとの連携が有利に働くと考える方も多いかもしれない。ところで、そもそも台湾有事とはどのような事態のことだろうか、ほとんどの方があのノルマンディー上陸作戦のような戦闘が台湾海峡を挟んで起こること想像されるかもしれない。ところが、私はそのようなことは相手国がよほどの馬鹿でもない限り起こりえないと思っている。
なぜなら有事の原因は台湾が独立国として世界に認知されることにあるからだ。つまりそうなる原因は台湾にあるのではなく周辺国の認知における問題といえるからだ。結局、台湾が独立できないのは周りの国が台湾を国として認めないからで、台湾が自分たちの武力で解決できる話ではない。かりに相手国が武力的な解決を望んだとしても、台湾本土への直接攻撃があるとは考えにくい、というのも日本近海でことを起こして、うっかり日本の自衛権を発動させてしまうことより、より安全な方法で台湾や日本への影響を行使するはずだ。それには戦力のより希薄な南シナ海で制海権を握ってしまえば、台湾どころか日本の生命線も同時に奪うことが出来るからだ。
そうなればアメリカ海軍はほぼ単独で南シナ海を守らなければならないことになる、つまりフィリピン海軍に自衛隊並みの戦力を期待することは出来ないからだ。というのも軍事力はお金を出して装備を揃えれば簡単に手に入るものではない、まともな軍事力として機能するためには練度や戦略など、その国の歴史から連綿と受け継がれる思想によって支えられてこそ成立するものだからだ。このような世界の基準からすれば日本の自衛隊は単独でも国を守ることのできる強力な軍隊に違いないのだ。
もし台湾有事を真剣に考えるとすれば、自衛隊は国際法に定められた正規の軍として憲法に明記されること、合わせて日本人の生命線といえるシーレーンの確保は必須である。さてこのことから今回のサミットを考えると、有事に対する備えは相変わらず他国任せで、具体的な取り組みに乏しい。つまりこのようなことを現実的に考えれば、ロシアとの経済協力を積極的に推進させ日本のシーレーンをより万全なものにしておく必要がある。つまりロシアとの経済協力は台湾有事を考えた場合、日本の存亡がかかる一大事なのだ。ほんらいこのようなことは軍事アナリストが詳細な資料を基に語るべきところだが、そのような情報がないので私のような門外漢が騒いでいるところだ。
さてこのサミットで日本に期待されていたもう一つの重要な宣言が、核廃絶に関する宣言だ。この点に関しても世論は厳しいコメントを総理に寄せている。とはいえ私にとっては歴代の総理大臣のコメントとどこがどう違うのかわからないのだが、そういう不満の内容もやはり代り映えがしない。
なんでも、コメントに魂がこもっていないとか実効性がないとか、そのような内容の批判が多く寄せられているそうだ。魂の有り無しには触れないが、実効性がないというのは今に始まったことではない、というのもJアラートが鳴り響く事態に政府の対応は「極めて遺憾」という言葉で終わっているからだ。このようであるから核廃絶に対し具体性が感じられないというのも今更なのではと思っている。
もしこのことに対し政府が決意をもってことに当たるのであれば、以前私が述べた通り核兵器はハーグ条約に反する非人道的な兵器であること、また都市攻撃など一般市民を巻き込む攻撃は、戦争犯罪として裁かれなければならないことを世界に訴える必要がある。これを実現するためにはアメリカの同意を得て、原爆投下について国際司法裁判所に提訴する必要がある。とはいえ、こんなことを今更やっても日米安保や核の傘を容認する人たちの立場を危うくするだけだし、アメリカが裁判を受け入れるとも考えられない。
そうであるなら、このようなことを今更訴えて混乱を助長させるよりも、日本が率先して核兵器の無力化を宣言した方が遥かに現実味がもてる。つまりこのことで金食い虫の核兵器による抑止力は意味がなくなるからだ。核を持つことに抑止力がなくなれば、何も言わずとも核兵器はこの世からなくなるのである。はたしてその可能性についてだけでも政府はコメントを残すことが出来たであろうか。
ところで核兵器を無力化できる兵器とは実際どのような物であろうか、私はその可能性を秘めた兵器が高出力レーザーだと思っている。この実現について、日本ではすでに実用化の目途がついているらしい。あまりニュースには取り上げられていないが、この兵器の素晴らしいところはミサイル攻撃への対抗手段としては無敵でありAIとの組み合わせが出来れば24時間、いきなりの飽和攻撃にも対応できることになる。さらに言えば、この兵器の維持コストの安さは核兵器などの金食い虫と比べれば勝負にならないほど低価格で実現できることになり現在問題になっている財源確保などのジレンマも起こらない。
ところで、このような夢のような技術に対し政府が割いた予算は65億円だそうだ。それほど低予算で細々開発が行われていた技術にもかかわらず実用に漕ぎ着けたというのは日本の圧倒的な技術力のおかげではないだろうか。
ところが最近私が危惧するところは、唯一の被爆国である日本でも核兵器を保有しようという動きがあるようだ。確かに現在行われている戦争のほとんどが核兵器を持たない国々であるため、ここから導き出された戦争回避の答えが日本の核武装である。これは核兵器を持つことで戦争は回避できるという発想なのだが、この発想がまともでないと思うのは私だけだろうか、世界の歴史を見れば幾多の文明が栄えては滅亡を繰り返してきたが、いまだ人類すべてが滅んだわけではないことは我々人類のささやかな希望だ。
このささやかな希望を踏みにじるのが核兵器というものだ。核兵器は最終的に地球上の生命すべてに対する無差別な殺戮である。私はこのようなものを軍事と同列に語ることは見境の無い殺戮を肯定するものだと思っている。
ある意味人類の歴史は非情な殺戮の繰り返しだったともいえるが、とはいえ人類はいまだ生き残っているのである。
中でも神代からの歴史を持つ日本は、幾多の戦を乗り越えつつも自らの命をも顧みず皇統を守り抜いてきたのである。この意志を尊重するとすれば、人類の滅亡を誘うこのように非道な兵器は保有することすら憚れるのではないだろうか。
日本人は祖先の残した誇りある歴史を生存のためと言えども、自ら穢してはならないと思っている。