今日は好日Vol.2
2023年 7月26日 ハーメルンの笛吹き男
数あるグリム童話の中でもこの話を聞くと絶望的な気持ちになる。この話は町中に溢れる鼠を笛吹き男が現れ、町から鼠を駆除できたのはいいが、満足のいく報酬を手に出来なかった男は、今度は町中の子供たちをさらってどこかに行ってしまったという、実に胸糞の悪くなる話だ。こんなことが日本で起きなければいいがと思いながらも、最近ニュースを見るたびにこの寓話が頭をよぎる。
ところで、これから日本国民の家計を危機に陥れようとしているのが、昨日も触れたエネルギー価格の高騰だ。日本ではいよいよこれからその危機が家計を襲ってくる。中でも特に深刻なのが電気料金の値上げだろう。現在の日本では発電のほとんどを火力発電に頼っている、そのためその燃料となる原油、天然ガスの値段が上がれば当然コストが高まる。このためその原因であるウクライナ戦争の終結は、国民の生命財産を守ることと同じように、政府が真っ先に対応しなければならないことだった。ところが政府はそのための停戦どころか、日本人を核兵器の脅威にさらす選択をしている。北朝鮮とロシアの活発な交流はこのことを日本国民に突き付けている。というのもこれは政府のとった外交姿勢が招いた結果でもあるからだ。このことについて先日、首相が訪れた中東のマスメディアも日本の偏った外交姿勢にかなりの懸念を示していたようで、故阿部首相の外交姿勢との違いをしきりに報道していた。
では、エネルギー供給を海外に頼らず自国で解決する政府の方針なのかといえば、その歩みも心もとない。というのも現在日本が取り組もうとしている再生エネルギーについて、マスコミ報道では、太陽光発電と風力発電推しが際立っている。再生可能エネルギーはそればかりではないでしょと言われるかもしれないが、実際政府の広報活動から受け取ることが出来るのは、この2つの選択肢以外ない。私はこのような危機に際して政府の行動如何によっては日本が世界に対しエネルギー問題解決の先駆けとなるチャンスだと考えていたからだ。
私が想像しているのは、水素エネルギーがその問題解決に貢献することだ。では太陽電池や風力発電では、何故エネルギー問題の解決とならないと考えるのか、その一番の理由はエネルギー供給の不確実性にあるだろう。というのも当たり前のことだが自然エネルギーは人間に都合よく動作してくれない、日本でも物の例えで昔から「風まかせ」といえばあてにならないことの象徴だろう。このような発電に日本経済は頼っていいのかという疑問があるからだ。このために太陽光発電や風力発電の安定的な供給のためには必ず巨大な蓄電池が必要になってくる、問題はこの蓄電池の製造はレアアースや重金属が必ず必要になるということだ。
さらに言えば太陽パネルの設置にはかなりの敷地が必要になる、例えば1000kwの発電には1haの広大な土地が必要で、当然そこに草が生えてくることは許されないので、管理が必要になる、ではそのつど手作業でパネル周りの草むしりをしているのだろうか、ありえない話だ。さらに言えば確かに発電中の太陽光パネルは、二酸化炭素の排出はないかもしれないが、太陽光パネルの製造時はどうだろうか。このことについてキャノングローバル研究所は製造時と発電時の二酸化炭素排出量について研究をされている。ここから分かることはすでに太陽光パネルは製造時にかなりの二酸化炭素を排出しているということだ、これでクリーンなエネルギーと言えるのだろうか。しかも耐用年数を過ぎた膨大なパネルの処分について、いまだに安全性は確保されていない。それでは風力発電についてはどうだろうか、この設置のための自然破壊もさることながら、稼働中の低周波被害や自衛隊によるレーダー探知能力を阻害する弊害がある。このようなことから現在政府が進める太陽光発電、風力発電はメリットとデメリットを比べれば、遥かにデメリットの方が大きいだろう。しかも防衛力整備に、これから43兆円も支出しようとする政府の防衛意識がこれでは、このための税金を納める国民の理解を得ることが出来るのだろうか。
その為私は、水素エンジンによる小規模発電を検討してはどうかと思っている。この小規模発電について何故大規模発電ではなく小規模発電なのかといえば、大規模発電には長大な送電線が必要になる。その為この送電線を日本全国で維持するためには相当のコストがかかっているのだ、この経費は当然電気料金に上乗せされている。さらに電力は送電線を通ることによって10%ほど目減りしてしまう。このような無駄なコストを減らすためにも必要になる電力量に見合うサイズの発電機を開発してはどうかと思うのだ。さらに発電に水素エンジンの瞬発力を使えば、必要な分を必要なだけ瞬時に発電することができるだろう、このことは季節によっては無人となるような離島でも必要な期間だけの電力の供給が可能になるはずだ。
ところで、水素を利用した動力には燃料電池という方法もある、私はどちらでもメリットの大きい方を選択するべきだと思うのだが、水素エンジンについてはガソリン車で使う既存のバッテリーでエネルギー供給が可能なことから、水素エンジンの直近での優位を感じている。とはいえ技術開発は日進月歩で新しいバッテリー開発が進めば燃料電池の優位性も高まるだろう。いずれにしても国を挙げてエネルギー問題を解決しようという方向性を誰かが示されなければ、このまま海外にエネルギー供給の主導権を取られた挙句最後の貧乏くじを引かされないようにしてほしい。
現在の民間企業では、日本優位の技術をすでに保有している、その技術を生かせるかどうかは政府の判断に委ねられていると言っていいだろう。さて日本の笛吹き男はいったい国民をどこに向かわせているのか、絶望ではないことを祈っている。