新日本を護るために
2024年 12月16日 彼らは何と戦っているのか
先日ガイアの夜明けという番組でビジネスホテル戦争というテーマの番組を視た。副題は日本一アパvs世界王者マリオットでアパホテルといえば日本のビジネスホテルを代表する寵児で今や日本一の規模だという、そしてマリオットといえば世界一のホテル、リゾート外資企業で、番組では熾烈な企業間によるシェア争いの様子を描いていた。さてこの番組では、これまで日本国中で起こっていたホテルの買収戦略の実態も合わせて紹介されていた。というのも日本のホテル企業が土地を買収し経営規模を拡大していくことは今に始まったことではない。問題は外資企業が日本の土地を買収し近年その勢いが加速的に進んでいることだ。因みに北海道においては街ごと外資に買い取られてしまった感がある。残念なことに今やその街では日本語すら通用しないというところまで事態は進んできているのだ。
このような事態にアパホテルは果敢に挑戦し続けているところなのだ。このホテルの経営が徹底しているところは、ホテルの株式はすべて家族が保有しているという。一見これでは会社の私物化のように思われるかもしれないが、この背景には日本にある優良企業のほとんどが、いまや金融機関をはじめ外資の機関投資家に、その株を保有されているということがある。ではこのことが日本にどの様な結果をもたらしているのかといえば、私はこれが30年もの間、日本人の賃金が停滞してきた原因だと思っている。そしてさらにこのことを後押ししているのが消費税ではないかと思っているのだ。というのも消費税は人件費控除を含まない売上に掛かる税だからだ。これにより企業はより純利益を増やし易くなるのだが問題は、この純利益がほとんど国内に流通しないことだ。ところが海外輸出で成り立つ企業は海外輸出の売り上げの消費税分は、この申告により還付されるのだという。そう言う事であれば経団連が消費税大好きなのも納得してしまうのである。要するに現状を見れば、政府が国民生活を置き去りにするような経済の不条理にアパホテルは真っ向から戦を挑んでいることが分かるのだ。
このように日本の一企業であっても日本国民のために果敢に戦いを挑んでいるという一方、日本の政府は国民生活の抜本的な改善に何ら興味を示そうとしていない。そればかりかアメリカの大統領が以前から懸念を示している日本製鉄によるUSスチールの買収は、両企業共に国名を冠し歴史的にもその国を象徴する企業であり、この件は一国のプライドを象徴する出来事と受け取られかねないのである。私はかつて日本企業がエンパイアステートビルを買収し得意になっていた頃を思い出してならない。そしてあれ以降、日本経済が辿った状況を見れば、このことが日本国の経済にどれほどの傷になるか考えずにはいられないのである。しかもこのようなことに際し、何らリーダーシップを発揮できない日本政府に、アメリカは何の期待を持つことが出来るだろうか。私はこのように経済的にも国民を守ろうという姿勢こそが国防意識の基本だと思っている。そんなことにも頓着の無い政府をどこの国が一蓮托生の同盟国として信頼することが出来るだろうか。ようするにこの状態では、お友達さえ無理なレベルなのである。