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新 思考ラボ

2025年7月22日ようこそ

2025年 7月22日 神事か人ごとか

人は死ぬとあの世に旅立つと古来より信じられてきた。おそらくこのことは人類が実体験から導いた経験則のように感じる。そして私はこれを体系的に表現したものが宗教なのではないだろうか。これに対して宗教は非科学的であり、もっと酷い言い方で宗教は麻薬のようなものだという表現もある。確かに科学万能の世界にあって人間の臓器をあたかも機械の一部であるかのようにとらえると、宗教を信じる人達は、ありもしない迷信に惑わされた哀れな人達のように見えるのかもしれない。

とはいえ科学にしろ医学にしろその最先端を覗けば、この世はまだまだ未開で人間の知識ではたどり着けない世界がで覆われている。ところで、このようなテーマを突き詰めていくと二つの考え方に行着く。要するにすべてのことは神事と受け入れるか、人生は人間の都合により積極的に作り変えられると信じる生き方に行着く。そして人間の都合で人の命をコントロールしようとすれば、生まれる前から人生にハンデを負う事に成る障害の遺伝子は、生まれる前にこれを排除しようという考え方に結びつく。つい先ごろ訴訟が起こっていた、らい病患者に対する去勢手術も、このような優生保護という考えに基づく。因みに今、頭に思い浮かんだのが「もののけ姫」に登場するエボシ御前の姿だ彼女は製鉄や鉄砲を操りながらも、ハンセン患者には棲家や介護の手を提供し、そこを仕切る棟梁として描かれている。そしてこのエボシにより生きとし生けるものを司るシシ神は滅ぼされてしまうという、人間の理想と神との対決という何とも深刻な物語だった。

さて今回この話題に踏み込んだのは、選挙戦さ中の話題で候補者の一人が女性の出産について高齢出産にはリスクがあるという考え方をのべ、これに対してTV番組のアナウンサーが、出産の時期は個人が決めるべき問題で高齢者の出産を危険とするのは差別的だという意見の対立があった。私は出産に限らず年齢を重ねればどうしても体力の衰えが出て来ることは避けられないものと思っている。特に出産は生物にとっての一大事なので体力が必要になることは火を見るより明らかなのである。何を言いたいのかというと、このような自然の摂理に沿って人生を歩もうと考えるのか、自分の理想を実現させる為には自然の摂理に背いてもそれを実現させようと考えるのかの違いだ。結局この話も先ほどの優生思想の考えに繋がっていて、人生を自分の都合に合わせようとするか、自然の流れに委ねて生きるかの違いになる。

最近でも女性は子供を産む機械ではないという言葉が聞かれていたが、この言葉の延長線上には人間は機械だという思いが透けて見えないだろうか。このような言葉が聞かれる前世間では子供は授かりものという謙虚な言葉が使われていたが、これに対して最近では、どれほど外見に違いがあっても男女は平等であるべきというイデオロギーが、これほど明らかな違いからも目を背けさせてしまうのだ。もっと嘆かわしいのは女性が子供を産み育てることが、女性の社会進出ありき優先で考えられることだ。これでは子育てに専念したい女性が社会の認知を受けられず、かえって肩身の狭い環境に追いやられてしまうことだ。たしかに子育てをしながら大きな仕事を成し遂げる方も居られるが、誰にでもできることではないだろう。

今から80年前の世界はとにかく兄弟7、8人は普通だったが、こうなると社会の責任まで担うのことはいよいよ難しい。とはいえ、このように子供が増えたおかげで現在の日本は経済も福祉もかろうじて充実した環境を手に入れることが出来たし、しかもこれにより未来を憂うことも無かったように感じる。それに引き換え戦後われの理想とした世界はどうだろうか、男女の社会進出は進んできたもののその後の未来を考えれば早くも破綻しかけている。

さてこれまで人の生き死にに関することは、あえて人間が触れてはならない領域として神聖視されてきた。ところが最近は、個人が納得のいかない人生は、とっとと創り変えましょうという風潮がおこり、そのため過去のものの見方や社会規範がどんどん変化させられ、気が付けば男女の差も認められないという、あまりにも愚かしい社会になってしまったのだ。それでは変革の根拠となる科学はどこまで世の中のことを解明できたのかといえば、宇宙がどのように誕生したのかさえ怪しいくらいのものだ。

では、この先何を頼りに我々は未来を思い浮かべれば良いのか、その答えとしてもっとも分かり易いのが神事という考えだ。つまりあらゆる命が神からの授かりものであり、この世に生まれる縁を持っている。それはこの世にとって、そこから生まれる新たなストーリーが必要になるからだ。

 

 

 

 

 

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Posted by makotoazuma