春望録
2025年 2月18日 給与1割増計画
先日、首相が日米会談を終えたばかりのアメリカから貿易関税25%を科せられるという懸念が出てきた。さてこれがまともに現実となれば日本経済は大変な打撃を受けることは間違いないだろう。では、アメリカ政府が何故このような発言をするのかといえば、今のところアメリカの輸入車販売にも、関税に等しい効果の消費税がかかっているからだ。しかも日本企業が製品を輸出する際は、この消費税は政府から還付されると言う、これでは公平な貿易関係になっていないといえるからだ。このようにすでに国内で付加価値税を導入している国に対して現在のアメリカ政府は、このような対抗措置を講じると言っている。
ところで、このブログでも消費税については、ことあるごとに取り上げてきたが、いまだにデメリットの大きさに憂いていることは変わらない。つまり日本の景気を回復させるためには、これを廃止して、その分法人税を10%ほど上げてはどうかと考えている。そうすることによって簡単にサラリーマンの給与は増えるのではないかと思うからだ。残念ながらこれに対する今の総理大臣の見解は「そんな簡単なものではない」と一蹴されたようだ。できればこの質問をした議員には、どこが簡単ではないのか詳細な解答を求めて欲しかった。というのも私が思うには今国会で審議されていた103万円の壁よりは、これによる事務負担は少なく、そのコストに比べ、国民に与えるメリットは遥かに大きいと思うからだ。とはいえこの記事は簿記の資格すらない人間の記事であることを最初にご了承いただきたい。
さてこれまで消費税といえば何故か経団連等がこれを推進してきた経緯があり、このことについては輸出企業は消費税の還付が期待でき、しかもその額は5兆円を超えるそうなので、消費税が増えることを財界が歓迎するのも当然だろう。しかしながらこれにより国内景気が停滞する原因になっているのだとすれば、企業はこれを歓迎するばかりでいいのだろうか、しかも今回はアメリカが大幅な関税措置をこうじる原因となりそうなのだ。これによりアメリカ市場での利益が減れば、その分は国内でカバーできなければ企業の先行きも怪しくなってしまう。
とはいえ、消費税についてこのような記事を書いても、あまり盛り上がらないのは何故かと思っていたが、先日参政党の安藤議員による動画をみて改めてなるほどなと思うことがあった。それは食料品に掛かる消費税が、この先廃止された場合、飲食業界は大変な打撃を受けることになるというものだ。どういう事かといえば、消費税は収入金額と売上原価に含まれる税金で、ここで算出される金額は最終的に利益の中から控除することが出来る。つまり利益が少なくなればこれかに基づき計算される法人税の税負担も軽減できるので、これを経営者が歓迎しないはずがない。具体的に原価率3割の飲食店が3000万円の収入を得たとすればこれに掛かる300万円の消費税から仕入れの1000万に掛かる100万円の消費税を控除することが出来る。これを基に所得の計算をすることになるが、納税額を決める課税所得はさらにここから人件費等の控除が認められ、税率が掛けられ税金の額が決定される。そして企業が納めるこの税金のことを法人税と呼称しているのだ。ところがこの課税所得を計算するとなると人件費以外にも家賃や光熱費、あるは様々な借金を引いてみると場合によっては赤字になる場合もあるのだ。つまり消費税とはこのような経費を考慮しない、無慈悲な税制と言う事も出来る。とはいえ、これほど問題のある消費税でありながら導入からすでに30年も経っている。とはいえ、これにいて廃止を望む声は然程上がっていなかったように思える、それは何故だろうか。
そこで私は、改めて確定申告の収支内訳書について確認してみた。すると国税庁のHPには確定申告の収支内訳書の書き方というページがあり、この記載方法が掲載されている。これを見れば確定申告時に消費税がどのような項目で記載されているのか確認できるはずだ。ところがその内訳書には消費税という項目は全くなかった。これではこの書類を作成する納税者は消費税がいつどのように納税しているのか理解しづらいはずだ。そればかりか、さらにその先にある請求書や領収書の綴り方を見てみると、インボイスなど特別な仕訳があり、これに掛かる事務負担は膨大なものになることが想像できる。現行でもこの税制には一体どれほどの事務負担が企業に掛かっているのかを想像するだけで呆然としてしまう。
結果を整理すると消費税は誰がどこで納めているのか収支内訳書だけでは、書類を記載してもハッキリ理解できない微妙な税金である。しかも企業にとっては、一見この消費税控除によって利益が圧縮されるように感じるので、これを歓迎する企業も出てしまう。とはいえ動画の指摘のように、安易な特別減税措置を講じれば、納税事務を複雑にするばかりでなく、飲食業を中心に小売りやサービス業に対し深刻な影響を及ぼす可能性がある。
さて、こんどはこの制度を廃止した場合に社会に与える影響を考えてみよう。これについて私は収支報告書の書き方を変えるくらいの事務負担しか思いつかない。しかも現行の内訳書もそのままでよく、変更箇所はここから余計な注釈を消すだけで済よいのだ。毎回増税時には大騒ぎになるレジスターもすでに備わっている課税のキャンセル機能があればそのまま使えるだろう。これが簡単ではないというのであれば、これ以上そのような政府に何を期待したらよいのだろうか。
とはいえ消費税が無くなればその分の財源はどうなるのか。すでに記述したことだが、その分を法人税に上乗せするだけで済む。さらに個人の所得並みに7段階の累進税率を用いればそれほどの不公平感は出ないだろう。そうなれば企業は直ちに上乗せされた法人税分を人件費に振り向けるはずだ。そうなれば必然的に給与は1割増しになってしまうのではないだろうか。これにより社会保険料においてもこれ以上国民に負担掛けずとも1割の増収になってしまうだろう。敢えて国民の恨みまで買ってまで収支に悩む必要は無くなるのだ。とはいえ、今の景気を変えるため、もう少し給与の上乗せを図ることは出来ないだろうか。そこで企業の純利益に注目してみた。実際この企業における純利益とは企業にとっての抜け殻のようなものであり、貨幣経済にとっての蟻地獄のようなものである。というのもここに落ちた資金は生きたまま社会に還元されることは稀で、できればここに落ちる前に何とか救い出せないものかと考えてしまう。そこでいっその事ここにも課税してはどうかと思うが、ここに資金がどんどん滞留しているところを見ると現行ではうまく機能していないのかもしれない。そこで具体的に純利益から株主配当の3%と自己資本に組み込む8%を控除し、残りを法人税の中に組み込んではどうだろうか、そうなれば更に、サラリーマンの給与は増えることにならないだろうか。
とにかく今日本に求められているのは健全で継続可能な市場だ、今のようなインバウンドに頼る経済では今後のアメリカとのパートナーシップははかれない、これが分かるリーダーでなければ日本の政治は託すことは出来ないと思うのだが。