続 盾つく虫も好き好き
2026年 4月4日 関税政策の行へ

関税政策といえば現在アメリカ政権が全世界に対し行っている強烈な貿易関税なのだが、何故このような事になっているのかを考えれば事態は深刻だ。というのもアメリカが抱える財政の赤字体質は悪くすればUSドル暴落の危険性を孕んでいるからだ。とはいえその悪影響を受けるのはアメリカばかりではなく、世界で最も多くその影響を受けるのは、アメリカ債券を世界一保有する日本国に違いない。
ここで最初に断りをしておくと、だから日本は緊縮財政で財政規律を守れと言う事ではない。というのもこれまでのアメリカ経済は石油を根拠としたUSドルの信用で支えられてきた。なのでアメリカの財政が借金まみれであっても破綻しないのは、石油の需要が無くならない限り、USドルの需要が無くなることは有り得なかったのである。ところが、SDGSを推進するバイデン政権時にアメリカはサウジとの関係を悪化させペトロダラーの覇権をすっかり手放してしまったのだ。これによりUSドルがなくても石油が自国の通貨で手に入ることが可能になったのである。つまり借金まみれの通貨といえばリスクのある通貨として他の通貨同様、為替市場での暴落も否定できないことになってしまった。このため、エネルギー、食糧は自国内で賄えるアメリカも他国から工業製品を輸入しなければならず、通貨の暴落は自国民の生活を困難に追いやる危険性が出てきた。中でも半導体製造や医薬品の製造など深刻である。
そして現在トランプ政権が最も重要視しているのはこのような自国通貨の信用を如何に守るかということだろう。そのためこれまで、アメリカが他国にすっかり手放してしまった製造業を如何に復活させ貿易収支のバランスを取るかという問題に一刻の猶予も許されない状態なのである。そして製造業といえば貿易赤字を最も強く抱えているのが中国との貿易になる。現在アメリカの製造業は空洞化といってよい状態で、しかも貿易赤字のほとんどが工業製品の輸入によるものだからだ。つまり最終的なアメリカの貿易赤字解消には自国の製造業を復活させUSドルの需要を維持するしかないのである。そのためには最も信頼のおける日本企業の協力が欠かせなくなる。幸い先日の日米会談成功により日本からの莫大な投資計画が約束されたそうだ。とはいえ、このことがUSドルの安定に繋がれば日本にとってこの投資は必ずしもデメリットばかりとは言えないだろう、がしかしビジネスなら利益の分配はお互い山分けが常識なのではないだろうか。
要するにこのような関係が盤石になり、USドルの信用が回復できれば関税による貿易への干渉は段階を追って見直されるに違いない。つまり、日本がアメリカの関税を撤廃させるには、アメリカへの企業誘致と技術協力を促進し、両国における製造業のサプライチェーンを強化することだろう。このような視点でイラク戦争の経過を見ると最初の攻撃が核施設の破壊と言いつつ、いきなり石油をよこせとなった経緯も理解できそうである。つまりこれにより貿易赤字国の製造業にダメージを与えることが出来れば、アメリカの製造業が復活できるまでの時間稼ぎになるからだ。具体的にアメリカによる貿易関税がどのくらいの期間続くかはアメリカの製造業復活にどのくらいの時間を要するかに掛かっているだろう。とはいえ、ウクライナ戦争で世界中から経済制裁を受けているロシアが、見事に製造業を復活させているので、アメリカの復活は間違いないだろう。後はアメリカ国民がどれだけ自国のトランプ政権を信じれるかだ。