春望録
2025年 3月6日 投資家の目
世の中にはお金の流れを予測して、お金を動かすだけで青天井のお金儲けをする人達がいる。こんなことを言えば彼らが、どれほど勤勉に情報を入手にしているのか、或いはどれほどのリスクを覚悟してお金を動かしているのかを知れば正当な報酬だと思うかもしれない。とはいえこの議論はポーカープレイヤーをどう評価するかの問題いに近い。というのもそこに何らかの哲学を感じることは難しいからだ。
ところで、私が何故このような記事をこのタイミングで書いているのかといえば、今回のアメリカ、ウクライナ会談の決裂を受け為替が、私の予想とはかけ離れた動きを見せているからだ。というのも常識的には返済の見込みのない相手にお金を貸し付けるなどありえないはずなのだが、現実はそのありえない人達の所に今お金がどんどん集まっている。しかもそんなお金はどこに有るのかといえば、払い戻しを止められているだけの口座だとしたら、これは正気の沙汰には思えない。例えば金融機関が現金の払い戻しに支障をきたし、一時的にでも払い戻しを止めなければならなくなった場合、このことによって口座の所有権まで失うとは考えないだろう。もしそんなことになればそんな金融機関に誰がお金を預けるだろうか。ところがある国の首相はこれを現実的に検討するのだという。しかもそれを取り巻く国の首脳もこれに賛同しているのだとしたらどうだろう。私なら自分の資産はもっと安心な金融機関に移してしまわないだろうか。
さてこれは私の空想話ではなく、目の前で起こっている現実なのだ。因みに私はお金とは価値を担保できるツールだと思っているので、しかもその価値は常に変動するものだと考えている。つまり価値を失った通貨は、ただの数字の羅列でしかないとさえ思っているのだ。
ところが、今目の前で起こっていることは、価値の担保となりえるエネルギー資源も、付加価値を創造するための産業基盤もほとんど失っている通貨にお金が猛烈な勢いで集まっているというのだ。
問題は、一体これがいつまで続くのかと言う事に成ると、結局、役を持たないポーカープレイヤーのゲームはブラフでしかないのと同じように、何時そうなるとは言えないが、それが世間にばれた時は、そこにベットした人達の財産はすべて失う事に成る。因みにマルチ商法が犯罪として成立するのは、誰が考えても永続性のない仕組みだからに他ならない。
ところで、今朝の経済番組から、なんと現在のドイツ経済を苦しめているノルドストリーム再開の情報が入ってきた。これはドイツの資本家がこのことについてロシアと交渉を持ったというファイナンシャルタイムズの報道による。とはいえこの話もドイツ政府がこれからロシアに対してどのようなポジションを取るかで変わってしまわないだろうか。
さて今日の世界経済における重要なトピックスはこればかりではない、明日カナダとメキシコに対しアメリカの関税が施行されることになるそうだ。とはいえこれに対しカナダ、メキシコ経済は耐えられるだろうか心配になる。つまり両国はこれを跳ねのけるだけの手札を持っているのかという疑問が残るからだ。因みに私はこのことに対し、彼らがアメリカの譲歩を引き出すことは、かなり難しいだろうと考えている。何故かといえば、この状態が続くことは、トランプ政権にとって国土防衛上の極めて重大なリスクになり得るからだ。つまりアメリカは通貨防衛の立場から自国内で完結する経済圏構築を最速で進めるはずだ。そのためこの基盤構築のためには、これまでの盟友と言えども容赦なく切り捨てる覚悟なのだろう。ところがこのことの重要性を周辺国はほとんど理解できていないようだ。特に我が国の首相においては、これについて「どちら側とも言えない」という発言をされたそうだ。このような状況で日本国民は彼に日本経済の行く末を託すことが出来るだろうか。このままでは日本は盟友を望むアメリカからすれば、日本はすでにカードを持たないプレーヤー側にベットしているように映っているはずだ。我々日本人はこのことに早く気付くべきで、しかも我々に残された時間はほとんどない。