今昔問答
2025年 5月11日 パワーバランス
4月22日インド北部のカシーミール地方で起こった銃撃テロを切っ掛けにインドとパキスタンでは紛争が続いていた。悪いことに両国とも核保有国で一歩間違えば、核戦争に成りかねないところだったが、昨日トランプ大統領の仲介で停戦の合意となった。さて私が気になったのはそれと同時に報道されたパキスタンの戦闘機により、インド軍機が撃墜されたという報道だ。パキスタン政府の発表によれば5機の撃墜と言う事なのだがインドはこれをまだ認めていない。とはいえ撃墜された2機の残骸は画像で確認されている。
ここで問題になるのは撃墜された2機の内一機はフランス製のラファール戦闘機で、もう一機はロシア製Mig29なのだそうだ。そしてこれらを撃墜したのは中国製の戦闘機だったらしい。このことで分かるのはそれぞれの国の友好関係であり、さらに友好国の兵器に対する技術水準が白日の下に晒されてしまった。いずれも現行モデルの戦闘機ではないようだが、このような一方的な結果になったのは、中国製レーダーの性能が極めて高く、搭載されていたミサイルも正確に目標を捉えていたと言う事だ。
このような状況であれば本来、西側は技術革新のため足並みを揃えずにはいられないはずだが、アメリカとの関係を見れば、あまりにも場当たり的でちぐはぐな行動ばかりに思える。結局EUや日本政府は国民の繁栄や平和な社会を目指そうとしているのか疑わしくなる。これではまるで、危険に自ら飛び込む夏の虫のようだ。というのも彼らはこれまで、世界を破滅に追いやるかもしれない戦争を支援し続け、国民が命を繋ぐための農業を破壊しようとするところも日本とそっくりだ。つまり彼らはより多くの人間が喜びと平和の暮らしを望む民主主義より、特別な人間だけが利益に与かる世界を望んでいるようにしか見えない。
偶然昨晩もウクライナ市民の生活を視察してきたという元外交官の動画配信を視たが、現在のキーウでは貧富の差が拡大し、食料品などはお金さえ払えばどんな高級食材でもいつでも手に入るらしい。反対に貧しい者は衛生状態が怪しまれる食品で飢えを過ごすしかないのだという。それよりおかしかったのは街の治安状態は、西側の多くの都市よりむしろ良いのだという、戦場より治安の悪いEUの都市というのは一体どのようなことなのか、ところが、あろうことに今の日本政府はこのような理解しかねる国々と足並みをそろえようとしているのだ。
結局のところ現在日本の状況は外交的に大変際どい所にある。というのも、アメリカはこのような状況を打開するために日本には相当大きな期待を持っていたはずだ。それは価値観を共有でき、共に経済発展できるパートナーとしてだ。先ほども述べたように経済的にも軍事的にも今世界のパワーバランスは覆ろうとしているからだ。だとすればそのバランスを取るためには、日本が敵か味方かでまるで違ったものになる。そのため最悪の場合を考えれば、敵にこれらの技術が渡るくらいならと考えても不思議ではないのだ。これは私の想像ではなく、先のUSスチールの買収劇でUSスチールから日本は罵詈雑言を浴びせられたが、単純に逆恨みとも言い切れない。
と言う事は、これからアメリカとの友好関係を築いていくためには、日本はアメリカと先端技術を共有し両国においてサプライチェーンを構築していくことが必要になってくる。当然それは民生用の技術ばかりに留まらず、軍民一体の幅広い技術革新が求められるはずで、日本はその信頼に応え得る政府でなければならない。このような状況を考えれば、これまで技術革新による経済発展に取り組まれてきた高市議員以外に次の総理大臣に相応しい人材はいない。とはいえそれが可能かどうかは自民党が多数派与党に返り咲き総裁選に勝ち残れるというシナリオでしかないのだ。
ところで不思議なことに、今の政府には選挙で勝という気概が全く感じられない。むしろ今の政府を見れば自民党の勢力を出来るだけ削ぎ落し、気の知れた野党と連立を組んで、保守的政治を封じてしまおうというEU型の政治体制を目論んでいるように感じてならないのだ。