今昔問答
2025年 5月29日 大きなナタ
鉈ナタというのはマキ割りや山に入るときに携える便利な刃物だ。
この道具に例えて政治改革などを断行する時にナタを振るうなどと言うことがある。現在のアメリカはまさにこの状態にあると言えるだろう。とはいえ実際に山を歩いてナタを振るっても、せいぜい枝葉を落とすのが関の山なので、現在のトランプ改革を例えるとすれば重機を持ち込む大改革なのだ。というのもこの改革は自前の教育から始まり、司法から産業まで巻き込む前代未聞の改革だからだ。こんなことを始めれば、アメリカ社会はこれまでの社会構造がひっくり返るほどの影響を被ることは間違いない。
しかしながらこれを行わなかった場合のアメリカ合衆国には未来がない。そう感じていたアメリカ国民の願いは着々と叶えられているように思える。要するにこれまで景気指標とされた株価や為替・債券価格などの指標は必ずしもアメリカ国民の幸せと結びついていなかったのではないかと思うのだ。つまりこれまでのアメリカ経済はコスト高によるインフレ経済で、好景気というより国民はフラストレーションを募らせていたのだろう、このことが先の大統領選であり得ないほどの共和党優勢に繋がったとは言えないだろうか。ではどのような経済指標が国民の幸せを反映しているのかといえば、私が思うのは不動産価格の動向だ。これによるとアメリカの不動産価格は2年前からかなりの割合で下落していたことがわかる。というのも不動産のような高額固定資産をサラリーマンが現金で手に入れることは難しい、そのため一般的には、住宅ローンの利用が必要になる。つまりこれにより将来に渡り信用創造が維持できる健全な経済社会と言う事が分かるだろう。
しかも、トランプ氏が選挙前の公約としていたのが、掘って掘って掘りまくれというインフレ対策だった。とはいえこのことが極端なインフレに対する最も効果的な政策であることはアメリカ社会だけに留まらない。つまりより安く原油を手に入れることは、自国の製造業や運輸、流通産業にとって掛け替えのない安定要因になるのだ。そのような視点で見ると現在中東では原油の増産により、その価格は下落している最中だ。これをテコにアメリカの製造業が息を吹き返すことができれば、アメリカは必ずドルの信用力を取り戻すことが出来る。このような視点で見るとトランプ大統領が真っ先に中東を訪れ、アメリカへの莫大な投資を成功させたことは、経済やパワーバランスの維持を含め大成功の外交政策だったと言える。さらに、この流れにそって日本からUSSへの投資を成功させることが出来れば、これはもう大統領の懐の大きさというか、まるでブラックホールごとき快挙になる。恐らくこの流れは今後も半導体、AI開発に生かされていくことは間違いないだろう。ケツの穴が小さいやつとは悪い例えだが、ケツの穴が閉まる相手が最も手ごわいように私は感じてしまう。