今昔問答
2025年 6月3日 緊急事態条項と戒厳令
東京弁護士会のホームページによると、どちらも異常事態の対応という点では変わらないそうだ。とはいえ緊急事態条項では内閣総理大臣に権力を集中させ、戒厳令では軍に権力を集中させるという違いがあるのだという。いずれにしてもこの事態に至るのは異常事態と言う事なので権力を集中させなければ様々な弊害がでることも予想される。とはいえこのように権力をすっかりお任せできるというのは、よほど信頼のおける総理でなければありえない。そうでなければ総統閣下誕生にもなりかねないからだ。因みに今の世界情勢を見れば権力の集中は未だに国民の生命を脅かす存在になる危険性を示している。
その最も顕著な例が今のウクライナ政権だろう。この政権は昨年の5月で任期が切れているにも拘らず、戦争状態の為選挙は延期されたままだ。ところが不思議なことにいつでも攻撃される可能性のある首都では、何度も各国の要人が集まる様々な会議が催されてきた。ところが同時期に期限の切れたロシアはキッチリと大統領選が行われ異常な支持率を得ているのだ。この状態を日本に当てはめると緊急事態条項にある緊急時の選挙についての延期条項には非常に危険な臭いがしてくる。ちなみにお隣の国でも突然大統領が戒厳令を発令し、これにより大統領は即座に辞任に追い込まれた。
確かに異常な事態に至れば国によっては危機に乗じて暴動がおこる危険が想定される。ところが、これまでの日本国民に限って言えば緊急事態に至っても極めて冷静で統率の取れた行動を、国民自ら行動することが世界的に認められている。たはいえ現政権の取り続ける移民政策こそ混乱を招くインシデントになりかねないのだ。何のことはない普段における政府の政策が緊急事態を招く危険を増大させているのだ。
これに対しむしろセキュリティークリアランスのような普段から適用場面を限定した地道な活動を適切に行う方が、様々な緊急事態にあっても、適宜対処できる対応力を国民自ら整えることが出来る。私はこのように普段から緊急事態に及ばない政治を行うことが、緊急事態で国民生活を混乱させない最も有効な政策だと考えている。そう考えると私は今行われている政策には、ほぼ共感できるものがない。むしろその反対の思いが強い。例えば先ごろから停戦のための会談の様子が伝えられているところだが、私は停戦が遅れる理由の1つが日本にあるのではとさえ思っている。図らずも今朝の経済番組ではロシアが停戦交渉の条件を緩めないのは、アメリカが腰が引けているからだと非難していた。これは大変的を射た発言で、停戦が長引くのはウクライナの背後にはこのような強力なスポンサーがいることを示唆しているのだろう。
因みに先日来、双方から行われたドローン攻撃の激しさを視るにつけ、これにより双方の国民がどれほど恐怖を感じているのかを思うと気分が悪くなる。こんなものに日本国民の血税が注ぎ込まれているのだ。改めて私はこの状況を日本国民は望んでいるのか、そんな機会があれば、私は国民全員に聞いてみたいものだと思う。もしこんなことは望んでいないとすれば、このことは日本の議会制民主主義が全く機能していないことを意味している。
結局このような状態を目の当たりにして、政府に有無を言わさぬ権力を集中させることは異常事態以上の脅威でしかない。そこで思うのは緊急事態条項云々の前に、このように民意が政治に反映されない仕組みを考えた方が良いのではと思うのだ。簡単に言えば国民から支持されない内閣には国民が直接NOを言える仕組みを作ることだ。このことは党利党略を優先する野党に対しても言えることで、昨年あれだけ騒がれたパーティー券の裏金問題よりさらに悪質な献金不記載が目の前で起こっているにも拘らず、これが何事も無かったことのように今も国会が継続されているのだ。しかもあれだけどのチャンネルでも騒がれた献金問題がマスコミを含めて取り上げられないのは、まさに国家の緊急事態に等しい。
因みに昨年の暮れは、ウクライナの武器供与が平然と行われていたにもかかわらず、国会は裏金問題で浮かれまくり、これほど日本国民の安全に関わる重大な問題を全く無視してきたのである。このように野党すらまともに政治に向き合わないのであれば、国民が直接政治に関わる必要があるのではないだろうか、つまり何らかの事態で権力の集中が起こった場合でも、国民が政策に対し直接意思を表明できる仕組みが必要と考える。その最も簡単な方法が内閣不信任案を国民が直接投票できるようにすることだ。