日々これ切実
2025年 7月31日 これぞ日本!
昨日は、日本全体が津波の警報で騒然となった。なんでもカムチャッカで起こった地震の影響らしいが、他国で起こった出来事とはいえ、やはり海は繋がっていると感じざるを得ない。
ところで昨日の津波では、幸いこれによる大きな被害は出なかったものの、突然の警報には正直驚かされた。因みに私の住む函館でも広い地域で避難警報が出され、けたたましいサイレンの響く中、家の前は避難所に向かう行列が続いていた。ところが、急な出来事にも拘らず避難所に向かう行列は静かで秩序だっていた。それはまるで繰り返し訓練を積んだ集団のようで不謹慎なことだがいつの間にという思いが頭に浮かんできた。とはいえこんなことは何十年もここに暮らす私も初めて目にする光景で、このような秩序だった行動を日本人が取れるのは、やはり生まれ持っての資質ではないかとさえ思ってしまう。
因みにこのようなことは、きっと警報が出された日本全国の沿岸部で視られた光景に違いない。このことで私がさらに驚いているのは、あのように着の身着のまま街中皆が避難すれば、世界の常識として空き巣が横行してもおかしく無い。ところが一夜明けた今日も、そのような報道はされていなかった。私はこれこそ日本人が世界に誇るべき日本人の特質であり美意識というものに違いないと思っている。
だとすれば、このような美意識が世界で共有されることになれば、世界はさらに住みやすい環境になり得ると私は妄想している。というのも、輸出といえばとかく何かに役立つ工業製品が目に付いてしまうが、国同士の交流はそれだけで終わらないと思うからだ。
因みに、1889年のパリ万博において日本が世界に衝撃を与えたものとは、日本の美意識そのものだった。というのも日本の絵画や日用品には、デザインのモチーフとして昆虫や草花が盛んに用いられ、このようなデザインはそれまでの西洋文化にとっては異質な文化だったに違いない。ここから、このようなデザインはジャポニスムとして美術界の潮流となっていった。つまりそこから伺えるのは、日本人はたとえ権力の頂点にあったとしても自然を愛で、自分もそこに身を置こうとする生活様式が存在することだ。要するに自然との調和や他者への敬意、それに起因する潔い振る舞いこそが、今でも日本人の道徳であり美意識そのものに違いない。