日々これ切実
2026年 4月6日 たっぷり!

先日放送された落語研究会だが、こんな言葉を掛けたくなるほどの名演が続いた。最初に登場した隅田川馬石氏の双蝶々~権九郎殺しという物騒なタイトルの演目だが、この演目は落語の世界を飛び越え一人歌舞伎とでも言いたくなる。さて隅田川馬石氏といえば人間国宝の五街道雲助氏の弟子にあたり、この物騒なタイトルの演目は芝居噺といわれる三遊亭圓朝氏の十八番だったそうだ。本来この話はお囃子の他に、芝居の背景に使われる書割まで用意されていたという。芝居は視たくても懐の寂しい人にとって寄せで芝居気分が味わえるのはせめてもの慰みになる。とはいえ演者にとってはったった一人で七転八倒の殺人現場を高座の上で描き切らねばならず、芸を極めた人でなければ難しい。馬石氏といえば以前視た高座でもこのような場面で背筋が凍るような凄みを感じていたが、今回も人間の持つ狂気をえぐられるような気がした。
今回二人の名人に挟まれた春風亭一花氏だが、枕の中で三遊亭兼好氏に噺の稽古をつけてもらったことを話されていた。兼好氏といえば丁寧な仕草を表現する噺家さんで、さぞかし厳しいダメ出しが出たのかと思えば、そこには氏の似顔絵が描かれてあったという、どんな似顔絵だろうと思ってネットを検索したらプロ以上に特徴を捉えた作品で、そんなダメ出しをもらえれば、家宝となるに違いない。
さてトリになった柳家権太楼氏は井戸の茶碗というお馴染みのお話しにも関わらず、権太楼節とでもいうのか聴衆はどうしても笑いをこらえることが出来なくなるようだ。枕に大谷選手の愛犬デコピンの話題があったので、そのあたりに収録されたものかもしれない。いつまでも氏の高座をたっぷり楽しみたいものである。