盾つく虫も好き好き
2025年 11月8日 ものには順番がある

私の好きなテレビ番組にディスカバリーチャンネルの名車再生ディーラーズという番組がある。イギリスの番組のようであちらでは「Wheeler Dealers」というらしい。内容は安く仕入れた名車を再生して、これを販売することによって利益を得るという番組なのだが、修理の様子を視ていると、目の前にある修理箇所に辿り着くまでは、とんでもない所の部品まで取り外さなければならないなど、自動車の修理には素人では想像すらできない苦労があることを思い知らされる。
ところで、話しは変わるが今の国会では、首相に就任したばかりの高市首相が所信表明演説を終え、これについて各党からの代表質問を受けている。先日トランプ大統領をお迎えしASEAN首脳会議、APECの出席を終えたばかりなのにも関わらず、休む間もなく国会質問に応じるところは馬車馬すら耐えられないのではと心配してしまう。しかも次々繰り出される各党からの際どい質問にビシバシ明確な回答を返していくところは、水戸黄門ラストで起きる大立回りを見ているような痛快さがある。それほどブレない回答が出来るのも、氏はもともと国政に対する明確な信念を持っておられるからだろう。
なかでも緊張を強いられる質問は憲法問題や台湾有事における我が国の立場など、言葉一つ間違えば政局どころか直ちに外交問題に発展しかねない質問が飛び出し、まさに真剣勝負に挑まなければならない過酷さがある。ところで、憲法改正を願うものからすれば首相には正直もっと踏み込んだ発言を望む向きもあるかもしれない。或いは、緊急事態条項という右派の中でも見解の分かれる案件に対しても何らかのコメントを期待したかったかもしれない。
とはいえ、今回の首相就任は少数与党の総裁がようやく野党の協力を得て誕生した政権である。このような状況で日本の命運を左右しかねない憲法改正を、政策の前面に押し出すことは首相として時期尚早の思いなのかもしれない。とはいえ、いつ起こるとも知れない有事に対し、常日頃から明確な認識を示しておく必要があるため、具体的な例を出しこれに解答されていたことはさすがというよりない。
ようするに、首相としては本丸を攻める前に今一度体制を整える必要があるとの判断なのではないだろうか、そのため総理として一早く減税政策や公務員の給与見直しを成立させ経済復興を急ぐことによって、政策の実行力を国民にアピールしたい思いなのだろう。その為の布石を今から打っているのだとすれば、これはまるで歴史的偉人の振る舞いを見る思いがする。