盾つく虫も好き好き
2025年 11月22日 時代の変わり目

最近政府の発言を聞くと実に爽快な気分になる。これまで政府の答弁といえばトウカドウテレビショッピング宜しく肝心なところが聞こえてこない。声が小さいのかと思えば大音量にしても意味が理解できないので、聞いても嬉しい話題ではないと思うことにしてきたが、これが間違ったためしがない。
さてお騒がせのU字工事ではなく集団的自衛権の発動はいかなる場合に発動されるのか、これについて首相の発言は具体的すぎるという驚きの反論があった。このようなコメントには自衛隊関係者もいるようなので困ったものだ。というのもこれは公の場での政府見解だ。当然アメリカの様々な立場の方にこの情報は届く筈だ。これを自分の事として考えてみれば自分が危機に陥った場合に助けを拱くようなパートナーを誰が命を張って助けるだろうか。つまり、このような想定は敵の出方を牽制する効果よりも、味方の信頼に関わる問題なのだ。
また武力衝突抑止の観点からも、お互い軽はずみな挑発行為を招かないように出来る限り明確にしておく必要がある。因みに以前同盟国の艦船から自衛隊哨戒機がロックオンされた事件があった。この時は幸い戦闘には至らなかったが、これにより自衛隊機が撃墜されていてもおかしくなかったはずだ。要するに明確なレッドラインを政府が示さないということは、このような危険な判断を現場の自衛官に押し付ける事に成っていないだろうか。そう考えると、そのような現状こそ直ちに改めるべきで、今回の首相の発言は非常に明快で的を射た回答だったと思える。
それにしてもこのような世界情勢にも拘らず、あえて集団的自衛権発動について台湾有事と絡める質問はどう考えても平和を望んでいる議員からの発言とは思えない。この事件の流れを見れば、先日アメリカとの同盟関係を確認したばかりの首相に、わざとこのような問題を投げかけたとしか思えない。言い換えれば、国民は税金を納めて自分の生命を危うくされ、経済活動に著しい損害を被っているという呆れた状態なのだ。とはいえ、これまでの政治はまさにこれが当たり前だったのだろう。だからこのような質問をした議員も政党もこの可笑しさに気付かないのだ。しかもこのような危険を真っ先に国民に知らせるべきマスコミが何事も無かったかのようにしている。その結果国民の多くがSNSなど個人発信をますます信じるようになっているのだ。
因みにこのような状況に助け舟を出そうとしたのが、先の国会質問にでたシカ問題だ。では一体彼らはこの2つの国を対立させて何を得ようとしているのか、考えられるとすれば、この出来事で今一番忙しくなっているのは恐らく軍需産業くらいだ。だとすれば彼らは憲法改正反対の立場を取りながら一方では、国同士の敵対心に火をつけ回っているのではないだろうか。もし、戦争を想定していない国がもし戦争に巻き込まれた場合、決して勝敗の付かない戦争が日本本土で始まることにならないだろうか。
現在これに関連するように日本の核保有についても推進の声が多く上がってきている。私はこれに反対する立場を取っているが、その理由の一つに核保有は日本の独立を遅らせると考えるからだ。何故そう思うかといえば日本の核保有は、敵対する国ばかりでなく同盟国にとっても脅威になり得るからだ。しかも核保有は、これまでも述べてきた通り日本の地政学的立場から見ても、民族消滅になる可能性まである。独立か核保有か国益で考えれば、その答えは独立してアジアから戦争の火種を消し去ることだと私は考える。