盾つく虫も好き好き
2025年 12月4日 残された可能性

借りたらかえすは当たり前だが、財政だなんだと言われれば国家の事ゆえよく分からないというのがこれまでの常だ。ところが驚くことにこの度30年以上前から自賠責保険の積立金が借りっぱなしの状態だったという。その額なんと5,500億円近くに上り、高市首相はこの返済を今年度の補正予算に盛り込むという。世が世なら金利分を含めて元金の8倍の返済を迫られそうだが、低金利のお陰でその難を逃れたのかいずれにしろこれにより保険金の支払いに支障があったとすれば政府が非難されても仕方がない。これにより今後どのような形で保険会社に還付されるのかは分からないが、これ程のお金が、だっまっていればうやむやになってしまうのかと思うと呆れてしまう。
さてこのような事情も含めてこの度11兆円を超える国債発行による補正予算が組まれる。しかもこれに同時並行で、日本版DOGEと言われる財政支出にメスを入れるという、その対象と目されているのが高額の補助金や租税特別措置だという。私はこれまで政策を聞いてこれほどワクワクする経験がない。
それに引き換え、同じ国会議員でありながら国民にとってどんな利益がもたらされるのか頭を抱えたくなるような質問をする議員もいる。何故このような不思議な議員が国会質問を行っているのかと考えれば国益というものを理解できていないのか、或いは日本国民の利益を護る事より大事なものがあるのか想像がたくましくなってしまう。とはいえこれほど世知辛い世の中で他人事のように構えてばかりいられない、スーパーに 行っても、電気代の請求書を見ても気が滅入ること甚だしい。そんな中で裏金問題だ、何だと騒ぐ国会議員を眺めるのもこれまた気分がよろしくない。というのも例えば国会を1日開く費用はおよそ3億円なのだそうだ。国会は通常150日開催されるので、議員が1分間発言や質問をしたとすると、このために1分間で約76万円の税金が使われる。つまりそれほど貴重な時間を使って彼らはシカを蹴ったのは日本人か外国人か、八っあんと呼ぶのは良いががクマとよぶのは不適切だなどと言って30分が過ぎると2280万円の国費が消えてしまうことになるのだ。
ところでこれまでも膨大な時間、裏金問題について国会の時間が費やされてきた。ではその裏金の何がそれほど悪いのかという問題は理解されているのだろうか。それよりもっと他に問題としなければならない大きな問題があったのではないのか。というのも政治資金の問題は、お金によって政治が歪んでしまうことが問題なのだが、その結果が国民の利益になるのであれば政治献金はむしろ公共の福祉に貢献したことと同じことになる。とは言えこのような資金の流れで最も注意が必要なことは国外からの意向により政治に影響が出ることだ。
そこから派生して国が戦争に巻き込まれ多くの尊い命が失われてしまうことは、歴史的にも珍しいことではない。だからこそ外国との繋がりには注意が必要で、そのような事をすれば外患誘致罪が適用され、これが適用になれば国際的にも極刑が常である。
因みに今回の国会で台湾有事という発言をあたかも首相の発言のように扱い、これにより中国との戦争が避けられないとなった場合は、この質問者がこの件で以前から中国と密接な関係にあったとされれば、このようなケースになりうるかもしれない。それほど今回の一件は影響が大きい。
何を言いたいのかといえば国会議員というものは、いかなる政党の議員であっても国民を代表する公の立場の人間である。しかもこの質問者は、すでにこのような危険に対して十分な知識、経験を持ち、質問内容も予め党内で協議の上国会に提出しているはずなので、このような質問は党ぐるみの質問であることは免れない。そのような状況から判断しても、このような質問を現在の世界情勢も考慮せず、まったく総理経験のない大臣を国家の一大事に陥れようとする行為を国民は許すはずがないのである。
ところでこのような一大事、果たして現実に起こり得るだろうか。巷では様々な想定がなされているようだが、最近の中国の動きを見れば何が起こるか予想がつかないというの正しい答えなのかもしれない。しかしながら私が思うのはこのような武力衝突が台湾海峡を挟んで起こることは、現実には起こり得ないのではと思っている。その根拠を言えば中国がもしここで軍事行動を行えば、それはすなわち中国と台湾が2つの国であることを世界中にアピールすることに成るからだ。しかもそうなれば現在ロシアが世界中からそうスカンを喰っている「武力による現状変更」と同じことになる。その結果中国はG7から直ちに経済制裁を受けることになるのだ。これにより中国は完全にヨーロッパ市場から締め出されることになる。ではブリックス市場は中国の進出を歓迎してくれるのかといえば、これから自国の経済産業を発展させよという国々にとってこれまで中国の行ってきた経済支援の態度を見れば果たしてそれを喜んで受け入れる国はどれほどあるだろうか。むしろ日本が経済支援を呼びかけた場合の方が歓迎される可能性ほうが高いのではないだろうか、私はこの度のASEANやAPECでの日本の歓迎ぶりを見るにつけ、これらの参加国は力強い日本の存在に期待しているように感じる。
さらに中国にとって危険なのはこれにより台湾の主権を世界各国が認めてしまう可能性だ。というのもそもそも日本がポツダム宣言の降伏文書に調印した時の当事国は台湾の中華民国であり、中華人民共和国は当時存在すらしていないかった。そしてその後の1951年日本の戦後賠償を決定したサンフランシスコ講和条約の当事国も中華民国でありこれにより現在の日本の領土、領海は決定されている。因みにソビエトとロシアの継承問題は、現在ソビエト連邦自体が存在しておらず、その継承においても国民がロシアの帰属を認めているので問題ない。ところが中国と台湾の状態は、現在も条約の当事国となっていた中華民国は台湾島という領土に現在も存在しており、その自治を自ら行っているつまり国家として存立するすべての要件を台湾は満たしている事に成る。要するに台湾問題は、ウクライナの状況とは分けて考える必要がある。しかもウクライナの状況をもう少し詳細に見れば、現在ロシアに占領されているドンバス地方のドネツク州は元々ウクライナから独立を宣言しており、ロシア侵攻後も直ちにここで住民投票が行われたが、その結果住民はロシアへの帰属を決定している。
ということで、今回の台湾有事騒動はあまりにも中国に不利益をもたらしてしまった。ここまで事態をこじらせてしまうと中国はこれまで通りの外交を継続することは出来ないだろう。この状態を修復するために最も理にかなった方法は台湾を国家として承認し覇権主義国家のイメージを一新することだ。その後に改めて新しい外交姿勢を世界にアピールするしかない。ポケットに手を突っ込んでイキったままでは、近づくことも出来ないからだ。