盾つく虫も好き好き
2025年 12月8日 有事のシナリオ

共同通信によると令和7年12月6日沖縄周辺の公海上において訓練中だった中国軍空母より発艦したJ15戦闘機が、この偵察に赴いた自衛隊のF15戦闘機に向け攻撃照準用レーダーを断続的に照射したという。これに対し中国側は訓練海域は事前に通告しているので自衛隊が訓練の邪魔をしたとしている。とはいえ、沖縄周辺とは言え公海上での訓練であればお互い堂々と偵察行為を行うことは珍しいことではない筈で、たとえ訓練の邪魔だったにしてもレーダー照射は武力行に等しい。しかもこのような危機について危機回避の取り決めが国家間で取り決められているとのことなので、現場の規律は失われている証拠になる。つまりこのような規律を失った軍と軍法すら持たない組織が武力衝突に及べば一体どうなるのか想像がつかないのである。
ところで読売オンラインの配信によると、昨日中国が軍事拠点化している南シナ海・スプラトリー(南沙)諸島のスービ礁周辺などで、中国船100隻超を確認したと発表している。このあまりにもタイミングの良い報道に驚いてしまうが、私は中国軍が台湾に侵攻することよりこちらの方がよほど心配になる。というのも台湾の場合はアメリカ、台湾、日本が陸海空の戦力を結集できる状態にある。これを中国一国で排除するのは現実的と言えるだろうか。一方南シナ海といえば中国が実効支配する島を拠点として制海権を支配することは台湾有事に比べれば成功する確率は、遥かに高い。しかもその効果を考えれば、台湾の支配権ばかりか日本国全体への影響力行使が可能になるのだ。
しかも現状を見れば、これほど日本にとっての生命線をアメリカ、フィリピン海軍に依存しなければならず、万が一にでもアメリカ海軍がここから撤退した場合、日本、台湾のライフラインは完全に寸断される。つまり、台湾が日本の生命線と考えるのであれば、この海域も日本の生命線になるはずなのである。とはいえ、ここまで日本が防衛線を広げることは現憲法ではありえないので、日本国憲法改正は自国のライフライン守る必須条件になる。
さらに言えば、現在日本はロシアとの正常な国交を閉ざしているためライフラインを南シナ海に依存しなければならなくなっているが、ロシアとの国交を回復すれば食料、エネルギーに関する調達ルートをシベリア周りで確保することができる。このような外交努力は世界の歴史を見ればけっして異常なことではない。そのためウクライナに対する必要以上の支援は見直すべきと考えている。
また、防衛力という観点からも現在日米安保により統帥権がアメリカにある状態は大変危険である。というのも、これまでの歴史で日本軍が異常な強さを誇ったのも一つには幕僚の優秀さにある、このことは現在も台湾が金門島を隔てて存在している理由になる。というのも、1949年の中国共産党と台湾との戦いに、中華民国軍の参謀役として元大日本帝国陸軍根本中将がこっそり関わっていたという。そればかりかハッキリ言ってしまえば日本の敗戦後、アジア各地で起こった戦争でアメリカ軍が勝利したことは一度もないのである。と言う事は、いかなる事態が起こった場合においても、日本の軍隊は日本人の幕僚により統率されていなければ日本の勝利は危ういのだ。
さて、現在世界中を戦争の暗雲が覆う世の中ではあるが、何故そのような危機に世界は見舞われるのか、きっと悪魔が世界中に戦争の火をつけ回っているのに違いないとさえ思ってしまう。とはいえ彼らは味方の振りをしながら近づくのでなかなかその尻尾を摑まえることはできないのである。
ところで、台湾有事という言葉は、私には「武力による現状変更」そのもののように思える。何故なら中華民国(台湾)は中華人民共和国建国以前から存在しており、現在の領土も国際条約締結により大日本帝国より返還を受けた正当なものである。しかも両国にはサンフランシスコ講和条約により戦後賠償すら終わらせているのである。ところが1946年誕生したアルバニア人民共和国という共産主義国において1971年に国連会議が開催された。ところがこの会議でこの国の推薦により中華人民共和国は国連の常任理事国入りが決まったのである。このような決定が何故戦争当事国でもない国の提言により決定されてしまうのか、しかもこのことにより中華民国の権利そのものが何故、消滅することになるのか。もしこれが法律的不備によるものならば、たったこれだけのことで何万にもの命が関わる戦争の危機が高まっている。だとすれば国連という組織は、はたして現状のまま平和維持を担える組織と言えるのだろうか。