盾つく虫も好き好き
2025年 12月12日 平和のための新しい秩序

これほど世界中で武力衝突の危険性が増す中、平和維持に期待が寄せられるはずの国連がまるで存在感を示すことができていない。それは何故かといえばまるで実行力が伴わないという悲しい事実が見えてくる。
今回日本は台湾有事という言葉に振り回され、自衛隊の隊員が実際に武力攻撃の危険に遭遇した。この経緯を辿ればこの事案がどれほど危険な状態で常識的には、直ちに国家間の戦闘に発展していてもおかしくない事案だ。今回も自衛隊員の献身的な判断によって国家的危機を回避することが出来たわけだが、私はこのような事案が続く限り国際紛争がいつ発生してもおかしくないと思っている。
とはいえ、世界にはこのような国際紛争を未然に防ぐべく設立された組織が誰もが知る国際連合だろう。というのも、この組織が掲げる国連憲章の第一条には「国際の平和及び安全を維持すること」という文言が真っ先に目に入る。この様に掲げられた組織の加盟国なら率先して平和維持に努めるものだと思っていたが、今夏の事案を見てもそうではないだろうというのが正直な私の思いだ。そればかりか今回の戦闘機による威嚇行為に対しこの組織はまるで反応を示していないところに、この組織は本当に平和維持を志している組織なのかという疑いを持ってしまうのだ。
では何故このような存在意義すら問われかねない組織が存続できるのか、という問いが怒りと共に湧いてくる。
此れには2つの疑問がある、まずその1つは何故平和維持活動に実効性が伴わないのか、この答えはこの組織の運営の中心が常任理事国であり、この常任理事国には拒否権という絶大な権力が備わっている。というのも国連の全ての決定に対し常任理事国は拒否権を発動でき、一国でもこの拒否権を使えばすべてのことは否決されてしまうのだ。このような状態で平和維持を期待する方が現実離れしている。
そしてもう一つの疑問は、この組織の構造的な問題だ。というのも、なぜ常任理事国だけがこれほど強力な拒否権を発動できるのかという疑問である。というのもそもそもこの組織が誕生する切っ掛けとなったは連合国共同宣言という条約になる。この締結は1942年WW2の真っただ中で、当時日本の属する枢軸国とは敵対していた戦勝国同士の条約だった。つまりこの時から日本の歴史は決まっていたようだ。ところでこの条約の発足時の署名国はアメリカ、イギリス、ソビエト、中華民国の4カ国となっていた。そしてこの宣言にも「生命、自由、独立、信教の自由を守り、自国のみならず他国においても人権と正義を守る」と書いてあり、この内容が現在の国連憲章にも引き継がれていることが分かる。つまり、全体主義国家や覇権国家は打倒すべき敵であるという認識なのだが、この認識に照らし合わせて現在の常任理事国はこの条件を満たす国家だと言えるのかどうか、そしてさらに深刻なのはこの共同宣言に署名していた中華民国という国は現在の台湾を指すことは歴史的事実なのである。これが何故常任理事国ではないのかという理由は、中華人民共和国との武力衝突により中国本土の主権を手放さざるを得なかったからに他ならない。つまり国連憲章にそぐわない形で誕生した国家を現在の国連は常任理事国として認めている。これでは国連憲章そのものが法的根拠を持たない絵に描いた餅であるようにしか思えないのである。
とはいえ、現在のように緊迫した世界情勢において国家同士が平和的な折り合いをつけていくためにはやはり、国際法による厳格な平和維持活動が望まれる。本来このような問題を解決し新たな平和維持組織を立ち上げるべきところだが、現在の世界情勢はその猶予を許さないだろう。そうだとすればせめて常任理事国という縛りはやめて国家同士が平等な立場で議決権を行使できるよう改めるべきではないだろうか、またこの決議に従わない国家には制裁の他、同盟国としての除籍処分も考えるべきと思うのだ。