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2026年 1月13日 台湾有事とは?

印象だけでこの言葉を聞くと、台湾という国を中華人民共和国が武力を用いて占領する事態だと思う。ところがそれでは大変な矛盾が生まれてしまうことになる。というのもこれでは台湾の存在すら認めない中華人民共和国が、軍事力を用いて自国を侵略することになる。
それではなぜ中華人民共和国は、このような矛盾を抱えてしまうのかといえば、中華人民共和国が成立する以前から台湾は存在していたからだ。その歴史を辿れば、日本の戦後処理にも関わってくる。というのも日本が敗戦を認めたポツダム宣言受諾時において日本と条約を結んだのは国民政府の総統蒋介石だった。これにより台湾の領土は蒋介石の治める中国に返還されることになった。また、戦後賠償を含む最終的な領土が決定された1951年のサンフランシスコ講和条約においても条約を締結したのも蒋介石だった。要するに日華事変の時から中国にはすでに2つの勢力が存在しており、この内連合軍と同盟関係にあったのは蒋介石の国民政府だった。ところが戦争が終わって間もなく、共産党との武力衝突により劣勢になった蒋介石は台湾に追われてしまう。つまり戦後も中国には2つの勢力が存在していたことになる。ところが、この均衡が破られたのは1971年に国連が一方的に中国の代表権を中国共産党に認めてしまったからだ。これに激怒した蒋介石は、これを機に国連を脱退してしまった。その結果台湾という国は国際舞台から消える事になってしまったのである。つまり国連は台湾に居住する多くの民意を無視し、しかも武力による現状変更を認めこれによる国家の消滅を認めたことになる。
因みにこの状態と現在のウクライナ戦争は同じ構図のように見えるが、ここには決定的な違いがある。それは、現在ロシアが占拠しているドンバスの各州はそもそも親ロシア派が多く居住し、2014年の時点でウクライナからの独立を宣言していた所だ。ところが、これらの地域はミンスク合意により、自治も国軍の保有もできないまま置き去りにされてしまった所だった。そればかりかこの地域の住民は、ウクライナの傭兵アゾフ連隊などから継続的な攻撃を受けていたというのだ。つまりもともとロシアに帰属したいというこれらの国と、中国には帰属したくないという国の話を一括りにされると大変な混乱が生じてしまうことになる。或いはアメリカ軍によるベネズエラ大統領の拘束事件についても、武力による解決には違いないが、その後も大統領の意を汲む副大統領がベネゼエラの運営を担っており、武力でベネゼエラ国を占領したとは言い切れない。
とはいえ、ウクライナにしろベネゼエラにしろ、話し合いで解決が見込めず武力行使に至ったことには間違いない。当然この流れが続けば台湾でも同じように武力衝突になりかねないと思われそうだが、台湾有事は中国にとってとんでもないリスクとなりえる。というのも前述のとおり台湾侵攻には、どうこじつけても大義は存在しないのである。むしろ中国がそのような暴挙に及べば政権がひっくり返る可能性の方が高い。
というのも、今回の騒動で日本は台湾有事を自国の存立危機と認識している。現在このことを全世界が知るところとなってしまっているのだ。ここで万が一にでも中国海軍の脆弱さが世界に露呈すれば、中国は太平洋での覇権を完全に失う事になる。
そうはいっても一度振り上げた拳を下すのは容易なことではないだろう。このような混乱を世界が見れば、中国の内政まで疑われてしまいかねないのである。つまりこの騒動は、中国が自国の政治、経済を含め改めて見直すタイミングなのだと思う。要するに共産党独裁体制を今後も維持するためには、台湾の独立をあっさり認めてしまう方が賢い選択になる。いや、むしろ台湾を積極的に日本に併合させてしまうという考えもありえる。というのも、中国経済の分裂を食い止めるためには、中国に資本主義と共産主義の2つの文化圏を成立させるよりよほど良い選択になるだろう。つまりこれからは、毛沢東思想に基づき中華人民共和国として貧富の差や階級による差別のない理想の国家を目指すのである。