ゾクゾク盾つく虫も好き好き
2026年 6月28日 勝敗の行へ

勝ち馬に乗るという言葉があるが、世の中の厳しさはこんなところにも表れる。要するに負け組を応援することは自分もまた負け組の悲哀を味わう事になるからだ。そうならない為には是が非でも勝ち馬を見極めることが大切だ。
とはいえこれがサッカーの話なら、心の状態は別にしてどちらに転んでも明日の生活に影響が出るということはない。ところが戦争の勝敗は末代までおよぶの禍根を残すことになりかねない。
ところで、戦争の勝敗といえば現在、誰もが頭を傾げるのがホルムズ海峡を巡るアメリカの対応だ。つまりこれはイスラエル、アメリカ連合軍対イラン、ヒズボラ、ハマス連合軍との戦争と理解して良いのか、そうでは無いとすれば、この戦争は一体誰と誰との戦争なのか理解に苦しむ。そもそもこの戦争はイスラエルがガザ地区に潜伏するハマスの攻撃を受けたという呈で始まった。このガザ地区とはもともとイスラエルの地で暮らす200万人に及ぶパレスチナ人を400キロ四方に満たない地域に押し込め、さらにコンクリートの塀で囲うというまるで現代のゲットーを思わせるものだった。しかもここへの攻撃は、日に日に苛烈さを極め、あまりの悲惨さにとうとうEU諸国からも非難されていた。ところがここへアメリカがイスラエルを支持する立場で乗り込んできたので、怒りの矛先はトランプ政権にも向けられることになった。
さてこのアメリカ参戦についてはアメリカ国内からも非難の声が上がっているのは言うまでもない。というのもこれまでのトランプ大統領は戦争をしない大統領と言う事で支持を集め、支持者からはいわゆる軍産複合体へのアンチとしてイメージされていたのだ。つまりこの参戦はそれほど大きなリスクを抱えていることは誰の目にも明らかだっただろう。これについては宗教上の理由や、イスラエルの強力なロビー活動によって参戦を促されたという噂が流れている。私の解釈はこの地域をアメリカが直接管理することにより、これ以上の惨劇を食い止める目的があったというものだ。
それにしてもその後のイランへの攻撃は、その規模からいっても想像を絶していた。このままでは地上軍投入によりイランとの全面戦争にまで拡大するのではという懸念があった。ところが攻撃は航空機やミサイルによる爆撃に留まり、嘗ての湾岸戦争の再演とはならなかった。この状況を視て識者は、これはアメリカの敗北であり、作戦計画がずさんであった為だという厳しい評価をしている。
これについて疑問に思うのは、これまでのアメリカによる攻撃をみれば極めて精度が高くピンポイントで行われている。つまりずさんな攻撃という評価には疑問が残る。ではその逆を考えるとアメリカは当初の目的に向け粛々と作戦計画を遂行しているのではないだろうか。問題はその作戦の目的は何かというところに行着く。要するにこの作戦の目的こそ現状のホルムズ海峡封鎖に繋がるのではないかと思っている。
ではこの海峡封鎖により起こったこととは何かといえば世界中で石油の輸送が滞ったことだ。これにより起きたことは原油価格の高騰とナフサなどの石油由来の精製品が製造業に与える影響の大きさだ。さらにその流れを握るのは原産国もさることながら、タンカーなどの海上輸送が鍵になる。つまりここの覇権を握れば原産国の意志がどうあれ石油の流れをコントロールすることが可能になる。嘗てアメリカはペトロダラーという権益を持っていた、つまりこれによりアメリカは再びその権益を手にしたことにならないだろうか。これがそもそものアメリカの狙いだったとすればこの勝敗はどちらに分があるのだろうか。しかもアメリカは現在も世界一の海軍力を誇り他の追従を許さない。そればかりかその海軍力を日本が補完する事になればこの勝敗は目に見えているように思えてならない。
更にまたこのことを強く思わせるのは、近頃増えているウクライナ軍によるロシア石油関連施設にたいする空爆だ。このことが石油に対する重要性をさらに浮き彫りにしている。つまりこの攻撃は、ロシアの経済を疲弊させるばかりでなく、ロシアの石油に依存する国々に対しても大変な影響を及ぼしているはずだ。