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 今日のできごと

2021年9月14日gallery,今日のできごと

 

2021年 5月4日 旅行のつもり

 

 

 セビリアでの夕暮れ、ふと立ち寄ったバルで喉の渇きをいやしていると急に外が騒がしくなってきました。往来に目をやるととっくに日が暮れていて、店の前の公園にはぎっしりと人垣が出来ているのがわかりました。 

 

そしてその中心をスポットライトが一際明るく照らしているようです。その内、店中の客が一斉に、外を目指して店の玄関に押しかけます。その頃にはバルの店先まで見物客が押しかけ容易に店を出ることもままならない状況です。

 

そのうちマイクのキィーンという金属音がして、スペイン語でのアナウンスが始まったところ観客から歓声と拍手が一斉に起こりました。「きっと有名なアーティストなんだろうな、一目見たいな」と思っているところにキターを鋭くかき乱す音。鋭くリズムを刻む手拍子や、タップを踏む音、そして甲高い男性の歌声が漆黒の闇に響き渡ります。

 

私はいきなり起きたハプニングに胸をどきどきさせながら、どこかこのステージを見る隙間がないか探してみましたが、店の入り口から離れることすらままならない状況で、そうこうしていると誰かが私の肩を叩くのを感じました。振り向くと先ほどビールを注いでくれた店員が店の奥に行くように合図を送っています。

 

合図に応じて店員の後をついていくと店の奥に階段があり2階へと通じているようでした。そこにはいくつか部屋があって、そのうちの一つがドアを開け放たれて外の熱気と明かりが直接部屋に入ってきているのがわかりました。よく見ると私の前にも2,3組のカップルがいるようでした。私はポケットにあった10ユーロ札を店員に渡し礼を伝えると、はやる気持ちを抑えながら窓辺に近づきました。

 

丁度この季節は、パティオ祭りと言って。各家の中庭や外壁を花で飾り付け、その美しさを競っている処でした。そして、日が暮れるとライトアップされたその庭が町中を電飾で飾り付けたようで、幻想的な夜を演出しています。窓辺から公園の中心を覗くと想像していた以上にはっきりとステージの様子を窺うことが出来ました。そのダンサーの手の動きやその思いつめた表情まで、スポットライトが当たったそこだけ。目の前に浮かび上がっているようなそんな錯覚に浸っていました。

 

というゴールデンウイークただなかの私の妄想です。私にとっては、妄想力のおかげで外出自粛もさほど影響がないのです。だから世間を軽んじてしまうのか。いけない私です。

 

 

 

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Posted by makotoazuma