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 今日のできごと

2021年9月14日gallery,今日のできごと

 

2021年 3月9日 柳田格之進のお話

 

 

 このお名前を聞いてご存じの方、よっぽどの方です。プロレスのお話期待された方残念でした。実はこちら落語のタイトルです。しかも人情噺です。同じように人名がタイトルになっている話で中村仲蔵ってのもいい噺です。落語には人の名前がお題の話が結構あります。そう、寿限無も人の名前でした。

 

 私も、最近柳谷花緑師匠の落語研究会で知りました。で、何をお話したいかというと日本人のものの考え方についてなんですが、この時代日本を訪れた外国の方に日本の印象を聞くと、高潔で誇り高い人々という印象があるようです。では、その高潔な道徳心がどのように庶民まで深く浸透していったのか。私はその一端がこのような落語であったり、講談や浪曲など庶民が娯楽として受け入れていた芸能が日本人の高潔な道徳観を作り上げていったのではないかと思っています。

 

 では早速、この噺どのようなお話かというと、いかにも堅物らしい柳田格之進という名前のお侍さん、そのまっすぐな気性が災いして上司から疎まれ、とうとうお役を解かれて、浪人暮らしという身の上です。

 

 ある日のこと、手慰みの碁が縁で大店の主人と打ち解け、やがて店を出入りするようになります。ところがある日、碁を打つために主人が柳田を奥の部屋へ迎えようとしたところ、主人が目の前に、包みが置かれていました。包みを開けると中には50両というお金が包まれていて、そのまま無造作に部屋に放置されている。不用心だと思いつつ、とりあえず鴨居に掛けてある書き物の裏にしまい込みます。

 

 それから、そこへ柳田を招きいれ碁を打つのですが、すっかり碁に夢中になりお金をしまったことを忘れてしまいます。

 

 後に番頭が主人に包みのことを聞くと知らないという、そこで疑いが柳田にかけられてしまい、そのことを知った柳田は濡れ衣であることを証明できない境遇に、自分でお金を用立てようとしますが、簡単に用立てできる金額ではありません。知り合いにお金の工面を乞うのですが、返す当てもなく命と引き変えにするつもりでした。

 

 そんな使いを頼まれた一人娘は父の窮状を知り、父の身にもしものことが在ったらお家の再興は道が立たれてしまう。それならば自分が犠牲になっても、お家の再興を果たしてほしいと懇願します。柳田は考え直し自分が仕官して家の再興をすることがお家のためと考え、娘の申し出を受け、娘が身売りして用立てたそのお金を商人のもとへ届けます。

 

 そして、自分の潔白を明かすことが出来ない以上、自分の娘を犠牲にして工面したこの金で汚名を濯ぎたい。いずれ、無くなったお金が見つかり自分の疑いが晴れた場合は、「番頭、お前の首でこの遺恨を償ってもらうことにする。」と言い残し、行方知れずになってしまいました。ほどなく、主人がお金を隠していたことを思い出し、柳田を探すのですが、どうしても行方が知れません。このさき話はまだまだ続くのですが最後は、ハッピーエンドの展開になります。ところで、このすさまじいまでの恥に対する拒否反応は外国の方には、ちょっと受け入れずらいのではないかと思います。

 

【武士の魂】

 

 私はこれがリアルな武士の思いというよりは、庶民が思う武士像ではないか。お武家様とは、このようなものだ。こんなイメージを武士に重ねていたんでは無いでしょうか。そしてこのイメージが庶民の心にしっかり沁みついて明治を迎えます。武士の時代は終わっていたんですが、鉄砲を持った日本の兵隊さん、かなり怖かったみたいです。

 

 

 

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Posted by makotoazuma