今日は好日
2022年 1月2日 鎌倉リアリズムと始皇帝
この写真は無著菩薩立像という運慶の作の写真ですが、この生々しさただ事ではありません。運慶といえば東大寺にある金剛力士像が有名ですが、今日は何気に図録を見ていたらこの立像の写真が飛び込んできました。仏像はインド中国を伝わって日本に伝わったとされますが、残念ながら木像でこのようなリアルな表現を探すことが出来ませんでした。ではその周辺を見渡してもむしろ人間から超越した存在としてカリカチュアされた表現が目に付きます。このようなリアルな表現は砂漠に近いガンダーラ美術に見ることが出来ます。
ところが中国でこのようなリアルな表現を仏像に求めるとなかなか容易ではありません。私が中国のリアリズムに触れるのは始皇帝の陵墓から発掘された兵馬俑からです。ところがその後の中国からこのようなリアルな表現は消えてしまいます。
日本人にとって支配者が変わると表現が変わるというのは、ちょっと理解しにくいことなのですが世界の歴史は日本の常識では捉えることが出来ません。さてこの始皇帝が収めた秦(しん)という国ですが、日本でこの字を名字にすると秦と書いて「みなと」あるいは「はた」と言います。
文字は違いますが八幡の幡、つまり八幡様の幡と関わり合いがあるそうです。また、秦の氏はユダヤ十二支族の末裔とも関わりがあると聞きますが、リアリズム表現が中国全土に広がりを見ないということは、ひょっとしてリアリズム表現はガンダーラの文明が直接日本にもたらされた証拠ではないかと正月早々妄想に駆られています。