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思考ラボ

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2024年 9月15日 鉄の記憶

昨日、洋鍛冶工房 杉本を経営する杉本昭二氏の展覧会を覗かせてもらった。会場には洋鍛冶と言うだけに鉄の鍛造作品が展示されているのだが、氏の作品は鉄だけではなく木材も積極に取り入れられている。そしてその木材はかつては樹木として生息していた時の姿をとどめたまま使われている。きっと作者はそのことを表現したいのだろうと想像していたが、後に作者が作品に使われている、明治時代の釘について語られていることを聞いて、更にその思いは強くなった。

言い換えればこれは鉄という無機質なものと木という有機物のコラボと言うことも出来るが、氏の作品からはそこに敷居を感じることが無いのだ。つまりどちらの素材も命という括りにおいて同じ存在感をたたえている。

そこで思い出したのが、いぜん坂田マンゴウ氏のコンサートで聞いたカリンバの音の美しさだ。カリンバといえば両手に納まる木箱の上に取り付けられた鉄の板をはじくことによって音を出す楽器なのだが、この素朴な楽器がとても心地よい音を奏でてくれる。何を言いたいかといえば鉄という一見無機質に感じられる素材が有機体である人間の感性を夢のような世界に誘うことが出来るのだ。

そこで思うのが、人間の感性の源はこのようなところに繋がるのではないかという思いだ。ともすれば我々が受ける鉄のイメージは原子の集まりでしかないように受け取ってしまうが、ひょっとして鉄にも我々と同じ記憶があるのではないだろうか。そしてその思いをさらに飛躍させると鉱物もまた無意識という世界に繋がっている存在なのではないだろうか。

ところで今日は敬老の日なのだが、敬老とは単に老人を敬うことなのだろうか。私は勝手に、この日は記憶という歴史を尊ぶ記念日だと思うことにしている。

展覧会 鉄は明日9月16日までギャラリーガーデンムトウと洋鍛冶工房杉本2か所同時開催です。

 

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Posted by makotoazuma