今日は好日
2022年 5月15日 神も仏も
毎日報道されるニュースには正直、この世には神も仏も無いのかと思えるほどの悲しみを覚えます。人は過去に学びより良い未来のために、歴史を学ぶと教わった記憶があります。ところが、最近はそんな言葉も空々しく感じるようになりました。一体このような不信感は何処に向けたらよいのでしょうか。
そんな毎日を送っていましたが、今朝は「観却下」という言葉が頭をよぎり目が覚めました。以前禅サンガの向井禅師に教わった言葉ですが、ある禅僧が3人の弟子を連れ、夜道を自分の寺に帰る途中で、突然携えていた提灯の明かりが消えてしまいます。この時、自分の後継を決めかねていた禅僧が弟子にこのことをどのように思うか尋ねたそうです。そのときの一番若い層の答えがこの「観却下」だそうです。もちろん禅僧はこの答えを一番気に入りました。普段私たちも駅や乗り物に乗るたび目にする言葉ですが、何故この言葉が禅僧に最も気に入られたのでしょうか、おそらく禅僧は「今の己を見よ」と受け止められたのではないでしょうか、一見弟子が師匠に説教しているようですが真実の前には何事も乗り越えてしまうのが禅の凄まじさです。
話をニュースに戻すと、そこからの情報をより良い未来の糧とすることは正しいことだと思いますが、いま己が絶望と悲しみに沈んでしまっていては未来にも浮かぶ瀬がないということです。自分の足元を見つめ直し光の内にあることを見出すことが、暗闇に怯える今の自分に必要なことではないでしょうか。