1998年 「応用問題」というタイトルです
応用問題 91cm×29cm 木・紙粘土・アクリル彩色
新道展の企画展への出品作品です。場所は札幌の大同ギャラリーで1998年11月に開催されました。絵画を出品していた作家にいきなり立体作品での出品を依頼するという、おそらくこの公募展でしか通らない企画だと思います。
期間は約6か月、まったく経験なしの製作が始まりました。案の定図録用の写真提出が間に合わず、白黒写真で制作過程の様子を送っています。紙粘土で、そろばんのコマに似せたハンバーガを作り、彩色したものが上の写真です。現在居間に飾っていますが、ハンバーガーの包み紙など色落ちしているようです。
このころ私がテーマとしていたのがハンバーガーで、ゆめというタイトルの作品を発表していました。何を言いたかったのかといえば、食事というものが、効率的に利益を生み出すためのシステムによって影響を受けることによって、人間の営みは大地から切り離され、更には家族という血で繋がったコミュニティーからも遠ざかろうとしています。
そこから浮かび上がってくるのは、システムを離れようとする人間が受ける疎外感や、システムに盲従する人間への警鐘です。
何を言いたいのかといえばシステム化の目的に効率化というものがあり、そのことは目的に沿わないものを極力システムから排除することによって得られます。ではそのような目線で人体を見ると、これも有機的なシステムと捉えることが出来そうです。ではそうであるとすると人間の体もこのような効率化に順応していくことに抵抗はないはずです、ところが、現代の我々はこのようなシステムが創り出す環境に、やはり何かしらの違和感を感じているようです。
これは私の考えですが、人間の営みは地球生命として誕生してから何十億年という経験を受け継がれてきました。人体はその経験をもとに有機的機能を獲得している筈です。そこで、このような視点からファストフードのシステムを見ると今日のファストフードのシステムは、まだまだ粗削りであって、人の命をすっかり任せきるには、多様な変更が必要と思われます。