今日は好日Vol.2
2023年 5月24日 できるかなの、のっぽさん
5月14日、できるかなというテレビ番組で人気だった高見のっぽさんが亡くなった。「できるかな」は私が子供のころ楽しみにしていた番組だった。その番組のなかで、のっぽさんはもじゃもじゃの頭にチューリップ帽子をかぶり、長身にを生かしてパントマイムを披露していた。番組はマスコットキャラのゴンタとの共演なのだが、私が懐かしく思いだすのは、さらに古いムウという名前の子熊だった。
この番組の楽しいところは日常よく見かける空き箱や段ボールを使った工作で、はさみとセロテープを使っただけで目の前にどんどんおもちゃが出来上がっていったところだ。さらにその作ったばかりのおもちゃで、のっぽさんが楽しそうに遊ぶさまを見て、自然と自分もそのおもちゃを作りたくなってしまう。石鹸の空き箱を使ったクレーンやマジックハンド、セロハンフィルムを使ったお化け屋敷など自分でも一生懸命見よう見まねでおもちゃを作った時の記憶がよみがえってくる。
確かに実際自分の手で作ったおもちゃが出来上がった時の喜びは、あの頃の自分にしか体験できない貴重な思い出だった。だからこそ、既成のおもちゃで遊ぶことに慣れてしまった今の子供たちの遊びは、私にとってはかなり物足りない遊びに映ってしまう。とくにテレビゲームに熱中する子供たちを見ていると、私にはなんだか寂しささえ感じて仕方がないのだ。
というのも、この子供たちは物を作ることの楽しさを忘れてしまうのではないか、という余計な心配をしてしまうからだ。今日もネットのニュースに水素を使った内燃機関の開発をしようと日本の企業が握手をしていたきじがあった。とうとう日本の自動車会社が水素エンジンに本腰を入れだしたと思ったら2輪の世界の話だった。とはいえ爆発を動力に変えるという無茶を実用化してしまった内燃機関には、やはり何物にも代えがたい不思議な魅力がある。エンジンの回転数に合わせてトルクやパワーの盛り上がりが変化する様は、無機質な機械というよりは有機的な生命のようにも感じてくるからだ。
だからこそ、過去のモータースポーツには様々な伝説が生まれ、関わったドライバーのみならず車両を手掛けた技術者や企業にも称賛が送られていたのではないだろうか。私はきっとこのように様々なモータースポーツに貢献してくれた日本の技術者のなかにも、のっぽさんに憧れ、作ることの喜びを感じて社会に貢献された方がたくさんおられたのだと思っている。