今日は好日Vol.2
2023年 6月11日 報道の自由
自由が誰にも認められた基本的人権だというのは本当にありがたいことだ、特に表現の可能性について挑戦を続けるものにとってこれほど重要な権利はないと思っている。とはいえ人間はその生命を維持するために社会というコミュニティーに所属している以上、そのコミュニティーを自己の都合より優先して考えることは理にかなった行動ではないだろうか。
何を言いたいのかといえば、個人の追求する自由とコミュニティーを維持するための秩序は時として対立を生むが、秩序が優先することは仕方がないということだ。そのためこの対立を平和的に解決するための唯一の方法が多数決であり、多数の意見が少数に優先するというルールが平和的解決には欠かせないことなのだ。なので、このことを「数の暴力」と表現することはかなり危険な表現といえる。
ところでこのような個人の認識はどのように形成されるかといえば、それは個人が得た情報によって決まると言っていい。問題はその情報をどのような手段で手に入れるのかに掛かっているのだが、現在までその多くをTV,新聞などのマスメディアが提供してきた。そのためこのマスメディアに最も求められるのが公平性だろう。つまり一方的な立場からの情報供給はプロパガンダや洗脳と言われても仕方がない、それほどの社会的責任を担っているのがマスメディアのはずだ。
ところが今朝ほど日本の国営ともいわれる放送局は1時間ほどの番組の中で、2021年1月に起きたある国の議事堂襲撃事件についての番組を放送していた。この事件はある国の大統領選挙で死人の投票があったという不正が噂され、これに対して選挙の無効を主張するデモ隊が議事堂に乱入するという事件だった。結果は前大統領側が選挙結果を有効と認め前大統領の敗退が決まったが、残念ながらこれによってデモ隊と警官側双方に死者が出ていた。このような疑惑を残す選挙だったのだが、昨年の中間選挙でも、とある州ではやはり機械トラブルによる混乱が起こってしまった。
因みに最近この事件に関するとんでもない情報が暴露されてしまった、もっとも有名なところではイーロンマスク氏によるTwitter社買収により、このことで削除されていた前大統領がデモ隊に当てたメッセージ記録が公開されてしまったのだ。これによると前大統領は、デモの前日からデモ隊に暴力行為を自重するよう呼び掛けている。そしてデモの2時間前にもそのメッセージは繰り返し発信されているのだ。
しかもこの時の議事堂内の監視カメラ映像まで公開されてしまった。そこには大変不思議な映像が映っていた、デモ隊のリーダーと目されれる頭から毛皮をかぶった上半身裸の男がプラカードをかざしながら、堂々と警官の招きに応じて議事堂内に入っていった。そしてその男に続いてプラカードを手にした人たちが次々粛々と議会内に入っていったのだ、この映像から乱入という混乱した様子は全く感じられない。もしこれが真実だったとすると今日放送された映像は何だったのか大変違和感が残る。というのもこのこの映像を見れば前大統領は、多様な人種に対し明らかな差別意識を持っていると言わんばかりの印象になるからだ。このような映像を当事国以外で放送することの目的とは何であろうか、しかもこの映像は国の名前を使う放送局が公平な立場で放送できる内容のものだったのだろうか、私は頭をかしげたくなる。
とはいえ私はこの放送を見たことを後悔するつもりはない。初めに期待したこの放送局の倫理観にはあきれてしまうが、興味深い内容もあった。それはウクライナの現大統領に対しこの前大統領は電話で8回も圧力をかけていたというのだ。残念ながら、どのような圧力かは報道されていなかったが、常日頃この前大統領は私なら24時間あればこの戦争を止めることが出来ると言っている。しかしながらそれが果たされるまでには、あとどれだけの人命が失われていくのか、戦争は馬鹿げた挑発行為によってどんどんエスカレートしている最中だ。
これほど愚かな行為を止めることは、巨大な西側マスメディアの威力があれば造作もないことのように思えるのだが、現在の西側マスメディアは一糸乱れぬ統制がとれているようだ。