今日は好日Vol.2
2023年 6月25日 停滞と混迷
だからあれ程言ったのに、誰でも経験する憤りだろう、こんな思いがきっと今世界中駆をけ巡っているに違いない。特にロシアの内乱とも思える傭兵の動きは不可解だ。この動きを西側の報道ではプーチン大統領の求心力が失われた証拠だとしたいようだが、果たしてそうだろうか、というのも、この件について今日のニュースではモスクワへの進軍は止まったと伝えられている。
ところで、このような傭兵の不満が伝えられてきたのも、先月配信されたいきなり弾薬不足の解消を求める傭兵部隊の過激な動画からだった。問題は何故、これまで常に最前線で活躍してきた傭兵部隊に、反転攻勢が迫っているにもかかわらず弾薬が届けられなかったのかということだ。いくら何でもロシアにとって危機が迫っていればこの状態は理解しがたい、兵站が滞る理由が見当たらないのだ。ということはロシアの国防省が弾薬をあえて渡さなかったという理解になるのではないだろうか。
また敵の反転攻勢のさなかに傭兵部隊が踵を返すこともまるで理解が出来ない、これでは国家への反逆と取られても不思議ではないからだ。常識的に考えれば、このようなことが起こりえるのは目の前に、敵が存在していないからなのではないだろうか、つまりこのことはすでに傭兵として活躍する場がなくなってしまったということを意味するのである。いずれにしても国防省からこれ見よがしに弾薬が供給されないというのは、いくら傭兵の身分とはいえ、あまりの仕打ちと言えないだろうか。このように戦争の背景には様々な要因が絡み合い一言で表現することは不可能だろう。しかもいずれの陣営も情報操作には長けていて、そこから配信される情報から何事かを判断するのは、さらに危険なのである。
ところで、我が国においても先に決まった防衛大綱のおかげで大混乱が起きているのだそうだ。原因はやはり用途不明のトマホーク購入にある、これについては運用方法すらまだ決まっていないそうだ。というのも現場も役人もこのミサイルを船に乗せるか陸に置くか、あるいは、どんなものを攻撃するのかさえ誰も理解していないという状況のようだ。そもそも、このような状態になったのも他国からのミサイル攻撃に対抗するためではなかったのだろうか。ところがそのことだけで言えば、この対応について自衛隊はすでに射程60キロほどの優秀な迎撃ミサイルを持っている。この兵器は試験によると100発100中の性能を持っていて、その上管制装置まで100%国産なのである。この兵器に対し国は、毎年200億円を超える予算を使って配備を進めてきたのである。もしミサイル攻撃の脅威がさらに高まったといえば、当然、このような兵器の量産を考えることが急がれるはずなのである。
ところが今回、防衛予算を倍にしてまで装備を急いだ兵器の使い道が、現場も役人も全く理解できていないのだ。そのために当てられる予算は、今年度で800億円だそうだ。しかもこの兵器の特徴は海岸線から離れた内陸の目標を正確に破壊することが出来、どこから打ち込まれたか秘匿するために長距離射程なのである。この兵器が使われた湾岸戦争でアメリカの戦艦からこのミサイルを発射して敵の目標を破壊していた印象がある。つまりこの兵器を開発した目的は、遠くにある国の近くまで軍艦で出かけて行って目標を破壊することなのである。この運用を合憲とすることは現憲法において出来るのだろうか、かりに出来たとしてもそれは詭弁というものではないだろうか。恐ろしいことに、これが国会の審議をとおり予算が成立してしまったことにある。これでは国会自ら遵法の精神を蔑ろにしてはいないだろうか。
これが現状の国会の姿である、国民が望んだ先の参院選での与党圧勝とは、このような理不尽がまかり通ることだろうか、そうではないだろう、国民は当初各党が示した改憲のマニフェストに賛同し国の安全を期待して投票したのである。それが与党圧勝という極めて明確な選挙結果となった。私は防衛を真剣に考えるのであれば現実離れした日本国憲法の条文を見直し、国際法との整合性がとれる憲法に変えるべきだと思っている。このことによって日本は国際法に照らし公平な立場で他国の紛争についても発言することがやっと出来る。今のままの状態では他国との協調も、まともな国際関係も構築することは出来ない。