今日は好日Vol.2
2023年 7月20日 海外の視線
昨日は午後から日経平均株価が大きく上がった。なんでも日銀総裁の発言から直近の利上げを市場は感じられなかった為らしい。このことは日本経済にとって好ましい出来事のはずだが、巷では円安によるエネルギー高騰を心配してか利上げを望む期待がまだくすぶっている。とはいえ私は、円を支える魅力がこの世から無くならない限り小手先の操作は何の意味もないことだと思っている。ではこの円を支える魅力とは何かといえば、それは日本の持つ技術力以外にないだろう。
このことを強く印象付けたのは、先ごろ首相が訪れた中東3か国でのことだった、当然日本はエネルギー資源の供給について話題にしていたはずなのだが、この時中東3か国が日本に期待したものは、クリーンエネルギーの技術開発だった。特に水素エネルギーへの期待は並々ならぬものがあったようだ。というのも先ごろサウジアラビアでは中国とこの技術に関する投資について話題になっていたばかりだ。それに引き換え現在の日本人にこの話題はどうだろうか、私にはあまり関心がないことのように見えている。何故かといえば日本のTV番組で取り上げられるクリーンエネルギーといえば、すぐに太陽光パネルや風車など外国製品ばかりが取り上げられて、私はこんなものに国の命運が掛かるエネルギーを頼って良いのかと首をかしげてしまうのだ。
それを証拠に政府の主導するクリーンエネルギー対策であるJクレジットの取り組みも、いまだに発電の主力は太陽光発電を強く印象付けている。ところが、それに対し日本以外の国ではすでにそれらの発電に限界を感じてきたのだろう、現在ヨーロッパでは、あれだけEV一辺倒だったにもかかわらず、今度は水素エンジン旅客機が検討されているのだそうだ。それにもましてお隣の国からも水素エンジンの自家用車開発を進めるという話題が飛び出している。つまり日本のマスコミ以外ではすでにEVの限界が浸透しているということだろう。これはEVの最先端を走るテスラが販売を伸ばす一方、値下げによる収益率の低下によって経営を悪化させているということにも繋っている。
ところが、このような状況でも日本政府の水素エネルギーへの取り組みはどうだろうか、あるのかないのか、あると公言できる人は恐らく僅かだ。あれほど国民の望まない法律を成立させるためには民主主義をかなぐり捨てても成立させる手腕があるにもかかわらず、その熱意は日本経済の未来を左右するであろうこの技術に対し発揮されているとは感じづらい。
このようにあいまいな態度が日本の優良企業であるトヨタの、本社移転を進める要因になっていることは間違いないだろう。とはいえこれはトヨタ一社の問題だけではなく、これまで内燃エンジンを支えた関連会社すべてに影響を及ぼす問題になる。そうなれば、そこに空いた穴を海外の目は見逃さないだろう、いずれこのような関連会社は海外資本に吸収されてしまうのではないだろうか。あまり疑いたくはないが、現在の得体のしれない円安もこのような背景が影響していないことを願うばかりだ。
ところでこれまでも外交手腕に自信を見せる首相だったが、結果はすでに日本のパスポートの魅力として表れている、残念ながらその魅力はすっかり色あせてしまったようだ。このことは我々日本国民が政治に無関心であったことへの教訓とするべきだろう。そうだとすれば、技術立国日本という最後の砦はけっして手放してはいけない、何故ならそれが日本の通貨である円を守ることに等しいからだ。